2017年1月30日月曜日

筑波大学大学図書館の資料購入費クラウドファンディングと運営費交付金削減政策の限界

筑波大学の附属図書館(以下、「筑波大学大学図書館」)が資料購入費のクラウドファンディングを始めている。
資料費減少で危機。大学図書館に本を購入し若者に十分な学ぶ場をは、あと63日で、約227人からの協力がないと支援が届きません。ひとりでも多くの方に広めてください!- Readyfor
国立大学に配分される「運営費交付金」が減額され、筑波大学附属図書館では資料購入費が減少し、主要な雑誌や新聞の購読さえも中止せざるを得ない状況に。学習・研究を支える基礎となる本を提供することは、図書館の大切な使命です。大学教育の質を下げないための工夫が迫られる中、クラウドファンディングを通じ、良質な本を充分に揃えるため支援金を募集します。
出典:資料費減少で危機。大学図書館に本を購入し若者に十分な学ぶ場を
筑波大学大学図書館のクラウドファンディングへの挑戦は、すべての国立大学法人が直面している、継続的な運営費交付金の減額に伴う経営苦のもとでの新しい試みである。いうまでもなく注目し、応援したい。
しかし、それとは別に、筑波大学といえば、RU11(学術研究懇談会)という主要研究大学で構成されたグループにも属しており日本を代表する研究大学のひとつだが、その大学でさえこれほどの苦境に立たされていることに改めて愕然とせざるをえない。
その原因は、年間約1%という数字を掲げて進められてきた、国立大学法人の数少ない安定的財源である運営費交付金のほぼ一貫した減額政策にある。それらの問題については、これまでも幾つか紹介してきたが、競争的資金の増加や産官学連携の強化で補えるものではなかったし、少なくとも減額の速度が早すぎる。
なぜ日本の大学政策は国内外からの指摘にもかかわらず運営費交付金削減と競争的資金政策に拘り続けるのか(西田亮介)- Y!ニュース
国立大学の現状についての基本的な4つの誤解について(西田亮介)- Y!ニュース
人件費や建物の老朽化対策といった大型の固定費を無視しているし、国立大学の収入構造がさまざまな規制で相当に限定的である現実も同様に無視されている。たとえば標準額の範囲を越えた学費(授業料)値上げは各大学では決定できないし、そうすべきでもないだろう。事実、大半の国立大学の授業料は標準額に留め置かれている。こうした状況のもとで、すでに少なくない国立大学の経営に相当な影響が出ている。
今回の筑波大学大学図書館の事例も、こうした苦境のなかでの挑戦だ。それ自体は素晴らしいが、大学図書館の性質上、図書の購入が半永久的に求められることを鑑みると、クラウドファンディングという一過的な手段で賄うものではなく、本来は恒常的かつ十分な水準の予算措置が不可欠に思われる。さまざまな現行の政策を見ても、大学への要求水準は高まっているし、社会的なリクエストも増加している。大学自体の(国際的)競争力を向上せよという社会的風潮もある。その一方で大学への国と社会の投資はまったく追いついていない。運営費交付金の大幅な増額は確かに難しいだろうが、かといってこのまま減額が続けられるようだと日本の高等教育と研究基盤はますます不安定なものになっていくだろう。今回の筑波大学大学図書館の事例を通じて、その背後の文脈と構造にも目を向け、いま国立大学が直面している事態の深刻さが少しでも知られるきっかけになってほしい。


2017年1月26日木曜日

1月13日千葉市で職員向け夜間講座「LGBTからみるダイバーシティ」を担当しました。



1月13日に、千葉市役所の職員向け夜間講座を担当しました。アカデミックな議論の詳細を紹介するというよりも、現状の日本における制度で担保されていながら看過されがちな権利やその具体例、先駆的な自治体の取り組みなどを紹介していきました。そののち、当事者の方と対談、会場との質疑応答という構成でした。

西田亮介,2016,「LGBTからみるダイバーシティ」(2017年1月13日@千葉市役所).

2017年1月25日水曜日

1月25日(水)Abema NEWS「けやきヒル's NEWS」コメンテータでした。

4回目の出演でした。そのうち水曜日3回で、かなりフォーマットにも慣れてきて、徳永さんの間合い的なものにも慣れて、円滑にコメントできるようになっている気がする。気が付いたのは、意外とキャスターの人の間合いや、進行も人によって異なるので、そこにうまくあわせてコメントできるかどうか、というのが、コメンテータはうまく読み取ってコメントしていくといいんじゃないか、という気がしてきた、たぶん。

2017年1月24日火曜日

「第百九十三回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説」に見る「目玉政策の総取り」と野党の困難

1月20日に、今年の施政方針演説が行われた。施政方針演説とは、1年間の基本的な政府の方向性を示した演説であるから、2017年の政治の公式の展望ともいえる。それらは首相官邸のページで全文を読むことができるのみならず、動画を見ることもできる。
平成29年1月20日 第百九十三回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説 | 平成29年 | 施政方針/所信表明 | 記者会見 | 首相官邸ホームページ
これを読んでの感想は、「目玉政策の総取り」とその裏返しともいえる野党の困難だ。「目玉政策の総取り」とはなにかといえば、多くの分野での(善かれ悪しかれ)注目されている、言い換えれば耳目を惹きやすい政策群をことごとく採用していることだ。「近隣諸国との関係改善」「挑戦」「地方創生」「イノベーションと規制改革」「被災地復興」「国土強靭化」「働き方改革」「女性活用」「成長と分配の好循環」「子どもたちが夢に向かって頑張れる国創り」などが、具体的な項目として挙げられている。
これらを見て気がつくのは、規制改革や働き方改革のようにこれまで野党発や野党の旗印になっていたような政策や、古典的なイデオロギー観では保守的とは言い難いような政策までも意に介することなく取り込んでいる。百花繚乱的いえばそうだし、昔から自民党は膨大な政策項目が並んだマニフェストを作ってきたともいえるが、それにしても、昨今メディアやネットでもしばしば取り上げられる注目度の高い、話題性のある政策が、注目されるままに並んでいるようにも見える。
もちろん実務面と世論との距離の近さといった観点から肯定的に評価することもできるが、それにしても思うのは、野党の困難だ。たとえば規制改革や成長と分配の好循環、働き方改革、女性活用などは、これまで民進党が得意としてきた分野だろう。そして個々の政策に書かれている中身は完璧とはいえないにせよ、向かうべき方向性に野党の主張と明確なギャップがあるようにも見えない。もしくは差異があったとしても、小さいか摺り合わせの余地がありそうだ。また地方創生やイノベーションと規制改革などはかつてのみんなの党や維新がシングルイシューではないにせよ、シンボリックな文言として用いてきた政策でもある。
野党と与党を比較すると、実行力という与党からみれば実績、野党からみればビハインドがある。それらを踏まえつつ、この施政方針演説を振り返ると、この施政方針演説で言及された政策群に対立軸をたて、それらを政策パッケージとしてまとめ上げ、さらに有権者の支持を獲得するのは相当難しいのではないかという印象を持った。年初の下記の論考などでも書いてきたが、この施政方針演説を見るだけでも、安倍政権の情報武装の戦略と手法には改めて注目すべき点が多々あるように思える。
【西田亮介】高度化する政治の情報発信。求められる報道の形とは
最後にこれもやはり各所で何度も書いてきたのだが、この施政方針演説のなかで2017年が憲法施行70年の節目の年であり、憲法改正の議論を加速させたい旨に言及されている点に注目したい。とくに象徴的な節目と、憲法改正への意欲を重ねている点だ。実務的には憲法審査会の議論の動向だろう。
健全な政治(…とは何かの議論は必要でそれはそれで難しいが)のために政治の現実的な競争環境は必要に思えるだけに、野党の健闘や現実味のある政策論争を期待したいが、同時にその難しさも感じさせる施政方針演説だった。

ポスト・トゥルース時代の政治の行方



これも今月冒頭のお話ですが、『第三文明』の2月号の特別企画「2017 日本の展望」に、長めのインタビューが掲載されました。ご一読ください。新春特集ということもあって、ちょっと公明党の政策にリップ・サービス気味ですが、半分は本音でもあります。別特集で、京大の柴田さんや、阪大の安田さんらの鼎談などもあり、そちらも興味深かったです。

西田亮介,2017,「ポスト・トゥルース時代の政治の行方」『第三文明』686: 20-1.

2017年1月23日月曜日

研究室ホームページの拡充

最近、少しずつ研究室ホームページの内容を更新しています。研究室での指導や、修士論文の構成や注意事項等についても加筆しています。というわけで、進学希望の人のみならず、進学が決まった人も改めてよく読んでおいてください。

https://sites.google.com/site/ryosukenishidalaboratory/

windy #beach for #surfing , however too cold...

Nishida, Ryosukeさん(@ryosukenishida)が投稿した写真 -

2017年1月21日土曜日

『二〇一三年参院選 アベノミクス選挙:「衆参ねじれ」はいかに解消されたか』



白鳥先生編の新刊を分担執筆で参加されている湯浅墾道先生よりいただきました。勉強させていただきます。湯浅先生や岡本先生らの論文にぼくのネット選挙本を引用いただいており、嬉しく思いました。





2017年1月19日木曜日

難波功士先生「新書百選」

面識はないのですが、メディア論の社会学者難波功士先生の「新書百選」エントリのなかに2冊入れていただいていました。ちょっとうれしい。難波先生が関西学院大学の社会学部長に就任されていたのがちょっと驚きです。

2017-01-05 新書百選
http://d.hatena.ne.jp/sidnanba/20170105#1483605234



2018年4月の大学院進学、とくに博士課程進学を考えているM1の人たちへ

まだ2017年度の博士課程進学者のための入試も終わっていませんが、来年、つまり2018年4月の博士課程進学を考えているM1の人たちは、ぜひ早く連絡してください。そうすれば、進学と同時に月20万円+研究費がもらえる学術振興会特別研究員への申請から指導可能です。締め切り自体は毎年ゴールデンウィークからですが、採択率が2割程度、書類の分量が十数枚と、やはり十分な準備が必要です。経済力がすべてだとは思いませんが、経済的に余裕があると、研究に集中することができ、また学振特別研究員に採択されるということ自体がひとつの優秀さのラベリングにもなり、また採択されたなかった場合でも、確実に研究を整理し、博士研究を円滑にすすめるきっかけになりますので、応募がお勧めです。というわけで、下記の研究室案内とあわせて、18年4月の進学を考えている人は早めに連絡をお願いします。

西田亮介研究室
https://sites.google.com/site/ryosukenishidalaboratory/

2017年1月18日水曜日

2017年1月18日(水)AbemaNews「けやきヒル's NEWS」にコメンテータとして出演しました。

2017年1月18日(水)AbemaNews「けやきヒル's NEWS」にコメンテータとして出演しました。三回目で、番組のフォーマットにも慣れてきました。「なんだか、他の番組よりコメント難しいな」と感じていたのはなぜかということで、ひとつ今日気がついたのは一般に番組のコメンテータは複数人いて、自分の得意分野のコメント中心にコメントしていればよいのですが、この番組、コメンテータが1人なんですね。その日のニュースのなかから、極力得意そうな方向によせていただけるものも、とはいえそうも言っていられないところもあり、というのが難しさの一因なのかもしれないな、と思いました。さりとて、汎用力と良質な脊髄反射力を醸成して対応していきたいものです。

2017年1月16日月曜日

Synapse「Best Salon of the Year 2016」で、「シナプス社員が選ぶ!最も熱狂したオンラインサロンBest3」部門2位、「社会・政治経済」部門3位となりました。

西田亮介の新書、文庫、雑誌で始めるリベラルアーツゼミ@Synapse

ぼくのオンラインサロンがSynapse「Best Salon of the Year 2016」で、「シナプス社員が選ぶ!最も熱狂したオンラインサロンBest3」部門2位、「社会・政治経済」部門3位となりました。前者は橋下徹さんのサロンに次いで、後者は橋下さん、山田太郎さんに次いでという評価でした。副賞等があるわけではありませんが、Synapseさんの200以上のオンラインサロンのなかでそういっていただけるのはなによりです。オンライン/オフラインでのゼミ(読書会)、書籍紹介、日々の気づき、メディア仕事の舞台裏の紹介等が中心です。ぼくのラジオとの相性が良いと思っていますので、ぜひラジオに関心を持っていただいた方はあわせてチェックしていただければと思います。

今年最も熱狂したオンラインサロンを表彰!Best Salon of the Year 2016
http://magazine.synapse.am/feature/best-salon-of-the-year-2016

西田亮介の新書、文庫、雑誌で始めるリベラルアーツゼミ@Synapse
http://synapse.am/contents/monthly/0510

2017年1月15日日曜日

論文: 「日本のオープンデータと『新しい公共』――現状とその課題、協働促進のプラットフォームに向けて」


というわけで、2016年は、2本の学術雑誌論文を書きました(書籍、共著学術書、学会報告等以外に、ということです)。

西田亮介,2016,「日本のオープンデータと『新しい公共』――現状とその課題、協働促進のプラットフォームに向けて」『計画行政』39(4): 9-14.

オンラインでもそのうち公開されるようです。

2017年1月13日金曜日

2017年1月3日朝日新聞オピニオン面にて、「自前メディアの活用、市民との協働…… 高度化した政治の情報発信の陥穽とは」に言及いただきました。



まだまだ本調子ではないというべきか、ファイルや郵便物を整理していると、いろいろと出てきます…。2017年1月3日朝日新聞オピニオン面にて、「自前メディアの活用、市民との協働…… 高度化した政治の情報発信の陥穽とは」に、WEBRONZA編集長松本一弥さんに言及いただいていました。研究者として、物書きとして、やはり自分が書いた原稿に言及してもらえるというのは、たとえ批判的だったとしても(むろん肯定的なもののほうが嬉しいのがニンゲンですが…)嬉しいものです。

自前メディアの活用、市民との協働…… - 西田亮介(東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授)|WEBRONZA - 朝日新聞社
http://webronza.asahi.com/journalism/articles/2016121200012.html

もしくは下記掲載誌で。

2017年1月12日木曜日

1月12日TOKYO MX『モーニングクロス』出演

1月12日TOKYO MX『モーニングクロス』に急遽コメンテータ出演しました。トランプ問題とトヨタを始めとする自動車産業、80年代のジャパンバッシングなどと絡めてオピニオンクロスでは取り上げました。 ラーメントーク、黒田さんの「字がきれいな人は、心が…」はじめ、まったりと楽しい展開でした。

2017年1月11日水曜日

2017年1月11日AbemaNews「けやきヒル's NEWS」にコメンテータとして出演しました。

2017年1月11日AbemaNews「けやきヒル's NEWS」にコメンテータとして出演しました。オバマ大統領の最後の会見をフルで流した番組を受けて、冒頭10分これを扱うというユニークな展開でしたが、徳永さんの圧倒的な仕切りと、テレビ朝日の前アメリカ支局長の名村さんの解説に勉強させていただきました。徳永さんの12年ぶり復帰という貴重な回でもあったようです。

徳永有美アナ「眠れなかった」12年ぶりキャスターに緊張も安定進行― スポニチ Sponichi Annex 芸能
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2017/01/11/kiji/20170111s00041000119000c.html

2017年1月10日火曜日

『公明新聞』2017年1月1日号に、公明党樋口尚也青年局長との対談が掲載されました。

『公明新聞』2017年1月1日号に、公明党樋口尚也青年局長との対談が掲載されました。 情報化と政治、公明党の取り組みなどが紙面で展開されていますが、この日、樋口議員とは結構議論が盛り上がり、文科省大臣政務官ということもあり、高等教育問題など多方面の話題に及びました。

somewhere #beach good for fun #surfing .

Nishida, Ryosukeさん(@ryosukenishida)が投稿した写真 -

2017年1月6日金曜日

2017年1月6日Abema News12時〜13時「けやきヒル’s News」にコメンテータ出演しました。

2017年1月6日、Abema News12時〜13時「けやきヒル’s News」の2017年初回放送にコメンテータ出演しました。元SKE48で、セントフォース所属の柴田阿弥さんの進行でした。テレ朝1Fのオープンなスタジオ収録で、開放的な気分ですね。立ち上がったばかりの番組らしく、フレッシュな印象です。これから作りこまれていくのではないでしょうか。来週11日(水)にも出演します。よろしくお願いします。

2017年1月5日木曜日

【西田亮介】高度化する政治の情報発信。求められる報道の形とは

NewsPicksの新年展望「NewsPicks2017大予測」に寄稿しました。日本におけるpost-truth politicsについてです。先日のJIDの新年展望とあわせて読んでもらうとよいと思います。

「【西田亮介】高度化する政治の情報発信。求められる報道の形とは」
https://newspicks.com/news/1977784/body/

2017年1月3日火曜日

JID新年展望

元フジテレビの安倍さんらがやっているJIDの新年展望に寄稿しました。ご一読ください。

西田亮介氏"改憲の準備は進行中"
http://blogos.com/outline/204337/