2015年1月30日金曜日

新島来訪

















ピンポイントの調査で、新島へ。新島というのは、伊豆七島のひとつで、れっきとした東京です。行きが大型客船、帰りが飛行機。帰りのプロペラ機は、これまで乗ったプロペラ機のなかでも格段に小さいもので、なかなか肝を冷やしました(苦笑)新島に行くのは、今回が5,6回目ですが、残念ながらサーフボードは持たず。十三社神社には、はじめて足を運んだのでした。離島ブームによる翻弄と地域振興や海岸「整備」の是非、それより遥か昔から脈々と続く、流人らとの交流で培われてきたという独自の文化。近くて遠い、「東京」から考えることは多々あります。

2015年1月29日木曜日

西田亮介氏・古市憲寿氏、英国で「日本の若者と仕事」を語る

去年の11月に、国際交流基金のスポンサードで、古市さんとイギリスで、講演&視察ツアーにいってきたときのまとめ。無業社会と、日本のネット選挙の話を講演しました。イギリスの通称「ナッジユニット」のスタッフらと会食できたのは、貴重な機会でした。古市さんとも、いろいろお話できて楽しかったです。

西田亮介氏・古市憲寿氏、英国で「日本の若者と仕事」を語る | をちこちMagazine
http://www.wochikochi.jp/report/2015/01/nishida-furuichi.php

2015年1月27日火曜日

おしゃべりで、透明な、道具箱

先方都合で、突如ボツになってしまった企画案・・・ぼくは結構書きたいと思っているので、どこか引き受けてくださる版元さんいらっしゃいましたら、ご連絡いただければ嬉しいです。

おしゃべりで、透明な、道具箱――自治体改革の新しい方法規準|Nishida Ryosuke|note(ノート)  https://note.mu/ryosukenishida/n/nb9cb91e1e726

2015年1月25日日曜日

「無業社会の問題系 ――若年無業者とその支援の現状から」@日本学術会議社会学委員会・社会学系コンソーシアム共催シンポジウム「現代の雇用危機を考える」(日本学術会議、2015年1月24日)報告資料


西田亮介,2015,「無業社会の問題系 ――若年無業者とその支援の現状から」@日本学術会議社会学委員会・社会学系コンソーシアム共催シンポジウム「現代の雇用危機を考える」(日本学術会議、2015年1月24日).

下記、シンポジウムの資料です。普段、議論することの少ない理論系の先生方のコメントと、やはり現場の最前線の今野さんのご報告が刺激的でした。とくに階級論の変容という橋本先生のご指摘は、最近考えていたある種のアドホックさというか、確率的な側面(ロールズ的でもありますね)とも共鳴するものがありました。私事でいえば、長くお世話になってきた遠藤先生と久々にお目にかかることができたのも良かった。貴重な機会でした。

http://www.scj.go.jp/ja/event/pdf2/204-s-1-2.pdf



・先日、久々に5年位前のサイドフィン付きロングボードを引っ張り出してきてみたら、思いの外、面白かった。オーセンティックなロングボード作りたくなった。

・ウェットスーツのネックエントリを破いてしまった。前から思ってたんだけど、ネックエントリは近年の素材改良の賜物とはいえ、あれだけ伸縮させたら当然そこだけ負担かかるので、やはり構造上ムリがあるのでは・・・というわけで、新しいのはバックジップに戻してオーダー。とはいえ、一番の理由は、冬に屋外で着替えるのに、なんだかんだで手間取って寒いというのが大きいかもしれない。

2015年1月23日金曜日

「問題の社会化」こそが、新しいジャーナリズム・イノベーションの姿であり、 「無業社会プロジェクト」はまさにそのパイロットケースだ


JCEJ ジャーナリズム・イノベーション・アワードに、下記の2作品を共同で出品したことを昨日ご紹介しました。
・毎日新聞『インターネットと政治』報道〜2013―2014〜
毎日新聞『インターネットと政治』取材班+西田亮介(立命館大特別招聘准教授)

・NPOと研究者の協働による民間で完結した無業社会の実態調査と政策提言
認定NPO法人育て上げネット+西田亮介(立命館大学特別招聘准教授)

後者のブースで配布する文書を公開します。ぜひ、当日、会場にいらっしゃってみてください。

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「問題の社会化」こそが、新しいジャーナリズム・イノベーションの姿であり、
「無業社会プロジェクト」はまさにそのパイロットケースだ

西田亮介
立命館大学大学院先端総合学術研究科特別招聘准教授

日本でジャーナリズムというと、新聞、テレビ等のマスメディアによる組織ジャーナリズムと、筆一本で権力と対峙する孤高のジャーナリストが名実ともにその主役の座を占めてきた。それらがこれまでジャーナリズムを担ってきた主体であることは明らかだが、ジャーナリズムの硬直化と自家撞着が昨今の課題であることもまた事実である。
しかしながら、若年無業者支援に10年取り組み、これまで2万人以上の就労実績を持つ認定NPO法人育て上げネットと、社会学、政策学の研究者である筆者による「NPOと研究者の協働による民間で完結した無業社会の実態調査と政策提言」(以下「無業社会プロジェクト」と表記)が、どのようにジャーナリズムと関係があるのか疑問に思う人も少なくないのではないか。
しかし筆者の見解では、本プロジェクトは、少なくともⅰ)クラウドファンディングという資金調達、ⅱ)マルチステイクホルダー(多様な主体の参画)、ⅲ)データとデータ分析に基づく白書の執筆(調査報道)、ⅳ)新書(『無業社会』)とマスメディアの関連企画等という普及啓発活動、ⅴ)現在進行中の政策提言のプロジェクトという5つの特徴がある。
「無業社会プロジェクト」の、これらの一連の「問題の社会化」の取り組みは、従来とは異なる主体の連携、ITを用いた資金調達、データ分析を取り入れたデータ・ジャーナリズム、ニッチとされる話題の新書やマスメディア企画を通じた普及啓発、また問題解決のための政策提言というアプローチは、まさしく新しいジャーナリズムの姿といえるのではないか。
本プロジェクトの最初の原資は、クラウドファンディングサイトを用いて、108人から約89.8万円の支援をいただき、始まった。またこれまで問題の重要性は指摘されていながら被支援者の生活実態に関する定量的調査が乏しく、約2000人の被支援者の生活実態に関する定量的分析を実施し、白書にして500部の紙媒体と電子書籍を制作した。さらに白書では一般の人が手に取りにくいので、新書を執筆し、関連企画としてNHKの番組企画となるなど、普及啓発に務めてきた。そして、今、若年無業者に関する政策について、所轄省庁を越えて網羅的に洗い出し、その課題を探索して、問題解決のための政策提言に取り組んでいる。
このように「無業社会プロジェクト」の一連の「問題の社会化」の取り組みは、一見、ジャーナリズムと縁遠そうで、実はジャーナリズム・イノベーションの優れたパイロットケースなのである。ぜひ、それぞれの成果を、手にとってご覧いただければ幸甚である。

2015年1月21日水曜日

1月24日開催ジャーナリズム・イノベーション・アワードに共同で2作品出品

1月24日に開催されるジャーナリズム・イノベーション・アワードに共同で下記の2作品を出品しています。

http://jcej.info/jia/works.html

・毎日新聞『インターネットと政治』報道〜2013―2014〜
毎日新聞『インターネットと政治』取材班+西田亮介(立命館大特別招聘准教授)

・NPOと研究者の協働による民間で完結した無業社会の実態調査と政策提言
認定NPO法人育て上げネット+西田亮介(立命館大学特別招聘准教授)

実に39作品が出品されていて、中々の激戦が予想されます。当日はぼくも会場で力の入った説明を・・・と言いたいところなのですが、ウラ番組というか、随分前から登壇が決まっていた学術会議社会学部会と社会学コンソーシアム共催のシンポジウムと完全に被っていて、17時半頃に駆けつけるという感じです・・・毎日新聞社さん、育て上げネットさんの両者の健闘を心から期待しております・・・

2015年1月19日月曜日

2014年の著書・査読論文・国際報告「以外の」仕事たち

遅ればせながら、2014年の著書・査読論文・国際学会報告等「以外の」仕事をまとめました。勤務先が研究費に応募するのに、業績の入力を求めているという大変現実的な理由に付きます。もともとこのブログにまとめていたので、時系列に辿っていって貼り付けるだけとはいえ、なかなかめんどくさい作業でした。去年もぼちぼち仕事したといえるのではないかと思いますが。気を緩めず2015年はさらに頑張りたいものです。

2014年の学術的な仕事たち
 http://ryosukenishida.blogspot.com/2014/12/2014_31.html

※※業績一覧はこちら(まだ下記のものは転載できていませんが、そのうち転載します)
https://sites.google.com/site/ryosukenishida/

(紀要・報告書等)
西田亮介・山崎孝広・湯浅墾道,2014,「インターネット選挙運動の回顧と展望」『情報ネットワーク・ローレビュー』13(2): 183-203.
西田亮介,2014,「『データシティ鯖江』モデル――なぜ鯖江市は、情報化に積極的なのか」『智場』119: 90-100.
山本理顕・石川健治・新雅史・仲俊治・西田亮介・松行輝昌.2014,『地域社会圏と日本のリデザイン――住まい、コミュニティ、地域』大阪大学学際融合教育研究センター.

(商業誌・新聞等論文)
西田亮介,2014,「受験とは、次のステージに移るためのもの。今は思いもよらない何かと出会うために」『代ゼミジャーナル』634: 15.
西田亮介,2014,「統一地方選挙におけるネット選挙とその展望」『地方自治職員研修』670: 28−30.
西田亮介,2014,「イメージ政治の時代:毎日新聞・立命館大「インターネットと政治」共同研究 巻頭言」.
西田亮介,2014,「『無業社会』を踏まえた新しい福祉モデルを」『第三文明』659: 22-3.
小林節・ゲンロン憲法委員会(境真良・西田亮介・東浩紀),2014,「憲法から考える国のかたち――人権、統治、平和主義」『ゲンロン通信』14: 23-51.
西田亮介,2014,「新聞社の優位性生かした展開を――新たなガバナンス構築と実践に期待」『新聞研究』757: 38-40.
西田亮介,2014,「ネット選挙の解禁で、政治もジャーナリズムも新たな応力が求められている」『Journalism』290,77-85.

(新聞等コメント)
衆院選:「いらだち」民意漂流 本紙・立命館大ネット検証」『毎日新聞』2014年12月18日朝刊http://mainichi.jp/feature/news/20141218mog00m010002000c.html).
「『票入れるとこ、なくない?』 明確な争点なく棄権増」『朝日新聞』2014年12月16日朝刊(http://www.asahi.com/articles/ASGDH76BZGDHUTIL04W.html).
「ネット選挙 県内試行錯誤」『信濃毎日新聞』2014年12月5日朝刊.
「政党本位の発信に限界」『朝日新聞』2014年12月6日大阪本社版夕刊.
「俊英気鋭」共同通信配信記事2014年9月19日.
「スタートライン」『聖教新聞』2014年8月2日.
「(耕論)「出羽の守」の功罪 西田亮介さん、野島博之さん、佐藤優さん」『朝日新聞』2014年6月5日朝刊(http://t.asahi.com/ex0e).
「仕事ができる人ってどんな人?」『アスキークラウド』2014年7月号.
「京の脱原発デモ100回 識者に聞く」『京都新聞』2014年5月23日朝刊28面.

(メディア出演)
テレビ神奈川 衆議院議員選挙選挙特番 第2部「神奈川から考える 私たちの未来」コメンテータ
http://www.tvk-yokohama.com/company/release/141208_1.pdf)@テレビ神奈川(2014年12月14日).
【わっしょい!×毎日新聞】国民感情データ大分析!総選挙2014(2014年12月10日)
http://live.nicovideo.jp/watch/lv202169362).
TBS Session-22「臨時国会がスタート「地方創生」に「女性の活躍」・・・。注目の論点は何か?」(2014年9月30日).
NHK Eテレビ「今そこにある 無業社会」『ニッポンのジレンマ』(2014年9月28日).
TOKYO FM 『TIMELINE』(2014年8月18日).
【ニコ生(2014/06/27 20:30開始)】どう読み解く!? ネット世論調査 2014年上半期まとめ #nicohou #ネット世論調査 (http://nico.ms/lv183334980)(2014年6月27日).
J-WAVE「5/10は「アベノミクス第三の矢:成長戦略の具体案を考えよう」『prime factor』(2014年5月10日).
J-WAVE 「わたしたちは国をどこまで頼っていいのか?」『JAM THE WORLD』(2014年4月22日).

(その他)
【総選挙2014】政治的分水嶺としての2014年衆院選(西田亮介) |ポリタス 「総選挙」から考える日本の未来(http://politas.jp/articles/305).
(ネットを歩く:2)日本の政治は双方向が嫌い? - 朝日新聞デジタル(http://www.asahi.com/articles/ASGDF4H50GDFULZU001.html).
【中央集権化する日本のネット選挙】~従来型政治コミュニケーションに留まる懸念~(Japan In-Depth) - Y!ニュース
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141201-00010004-jindepth-pol).
西田亮介,2014,「求める人材像を社会に積極的に発信し、雇用習慣変容のソフトランディングを」『jin-Jour』.
【沖縄県知事選】沖縄県知事選に見る現代日本の縮図――価値についての選択肢の不在と交錯するマクロとミクロの利害関係(http://politas.jp/articles/148).
10年後、「無業」に陥らないため今すべきこと 城繁幸と西田亮介、「若者と仕事」を語る(後編) | プレタポルテ - 東洋経済オンライン(http://toyokeizai.net/articles/-/48735).
「今そこにある 無業社会」番組収録後インタビュー:西田亮介 | 語った | ジレンマ+ (http://dilemmaplus.nhk-book.co.jp/talk/6859).
若者は、なぜ「無業状態」に陥ってしまうのか 城繁幸と西田亮介、「若者と仕事」を語る(前編) | プレタポルテ - 東洋経済オンライン (http://toyokeizai.net/articles/-/48187).
西田亮介,2014,「ポスト論壇の言論に向けた覚書」『現在観測』.
松井孝治×西田亮介対談【後編】「市民が積極的・主体的に身近な公共にかかわる社会をつくりたい」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40210).
松井孝治×西田亮介対談【前編】「官邸では、国の未来像を描き、戦略を立てる仕事が中空だった」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40209
西田亮介,2014,「湘南とリゾート」『α-SYNODOS』vol.146+147.

(講演・イベント登壇等)
西田亮介・青木優莉,2014,「システム/仕組みから考える創造塾」(2014年12月16日@慶應義塾大学SFC-DNPハウス).
西田亮介,2014,「『無業社会』の現在形と政策提言に向けて」(2014年11月28日、12月5日@日本Microsoft).
西田亮介・横田明美「第2回 ネット選挙勉強会 ~ブロガー・SNS利用者がしていいこと・いけないことはなに?を考える~」(2014年12月6日@スター貸会議室 代々木 カンファレンスルーム6).
西田亮介,2014,「無業者会とその現在形」@sessions the 15th無業社会をデザインするワークショップ」(2014年11月1日@調布co-ba).
西田亮介,2014,「研究資金獲得支援セミナー第2弾 民間財団助成金にチャレンジ!!」@@立命館大学衣笠キャンパス(2014年10月28日、11月4日).
奥本英樹・西田亮介,2014,「南相馬サーフツーリズムの可能性――福島はいま #3」(2014年10月28日@ゲンロンカフェ).
西田亮介,2014,「ネット選挙の可能性と課題――制度設計、ジャーナリズム、民主主義の視点から」@「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟 神奈川勉強会Ⅱ 【実践】タブレット議会 ~ICTで変わる議会改革~」(2014年10月10日@湘南C-X(シークロス)オザワビル7F).
西田亮介・三宅洋平,2014,「「安倍政権は止まるのか――ウェブとデモで【これから】【本当に】政治を変えるには」(2014年9月24日@ゲンロンカフェ).
西田亮介・開沼博,2014,「若者が働けない社会――気鋭の社会学者による『未来の変え方』徹底討論!」(2014年9月11日@ゲンロンカフェ).
西田亮介,2014,「無業社会と政治参加」@明るい選挙推進協会「若者リーダーフォーラム(東海北陸・近畿ブロック)」(2014年8月30日@メルパルク京都 会議場D).

第5回「変える力」フォーラム (2014年7月25日 @PHP東京本社).
【テーマ】 「なぜ、いま、憲法が問題なのか」
【パネリスト】 曽我部真裕(京都大学大学院法学研究科教授) 西田 亮介(立命館大学大学院先端総合学術研究科特別招聘准教授) 松原 輝和(公益社団法人日本青年会議所憲法論議推進委員会副委員長) 
【モデレータ】 永久 寿夫(政策シンクタンクPHP総研研究主幹)

「ふくしま会議 in Tokyo 世界を変える、福島の最新ソーシャルビジネス」@丸の内 3×3 Labo(2014年8月1日).
赤坂 憲雄 氏 (一般社団法人ふくしま会議代表理事、学習院大学教授、福島県立博物館館長) 安倍 宏行 氏 (株式会社安倍宏行、NEXT MEDIA "Japan In-Depth" 編集長) 五十嵐 幸介 氏 (株式会社五十嵐製麺 社長気付室長) 一色 清 氏 (株式会社朝日新聞社 教育コーディネーター) 佐藤 弥右衛門 氏 (会津電力株式会社 代表取締役社長) 西田 亮介氏 (社会学者、立命館大学特別招聘准教授、国際大学GLOCOM客員研究員) 宮城 治男 氏 (NPO法人ETIC. 代表理事)

依光隆明・西田亮介・菅谷明子,2014,「ジャーナリストが学ぶべきスキル」@JCEJジャーナリストキャンプ2014報告会(2014年6月29日@法政大学市ヶ谷キャンパス).
河野太郎・平将明・東海由紀子・西田亮介,2014,「政治分野におけるソーシャルメディア戦略」(2014年5月30日@デジタルハリウッド大学).
西田亮介,2014,「インターネットは政治を変えるか?――立命館大、毎日新聞共同研究が明らかにした可能性」(2014年5月29日@毎日新聞社メディアカフェ).
西田亮介,2014,「ナレッジコモンズの昨今の潮流とその意味」@関西学院大学社会学部シンポジウム「社会学におけるピアエデュケーションの現在と未来」(2014年4月23日@関西学院大学).

(国内学会報告・学会活動)
『2020年のオリンピック/パラリンピックと情報社会』@国際公共経済学会 第29回研究大会(2014年12月13日
座長
西田 亮介 (立命館大学)
基調講演
井上 明人 (立命館大学ゲーム研究センター)
パネリスト
赤坂 亮太 (慶應義塾大学KMD研究センター)
生貝 直人 (東京大学)
岩出 和也 (東洋大学大学院)
工藤 郁子 (キャンペナー)

西田亮介,2014,「日本の無業社会」@情報化の挑戦を受ける日本に関する研究(Kapro)研究会 (2014年10月16日@総合研究開発機構).
西田亮介,2014,「ネット選挙運動解禁の成果と課題 ――競合する『動員』と『透明化』」@日本公共政策学会2014年度第18回研究大会(2014年6月8日@高崎経済大学).
小野塚亮・西田亮介,2014,「ソーシャルメディア上の政治家と市民のコミュニケーションは集団分極化を招くのか ――Twitterを利用する国会議員のコミュニケーションパターンを事例に」@情報社会学会2014年度年次研究発表大会(2014年5月24日@慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス).

【民主党は革新的提案型政党になれ】~寛容な社会を擁護し、経済成長を肯定せよ~(Japan In-depth)

昨日の民主党代表選を受けて、依頼をいただき書きました。現在見る限り、本文1行目が見出しになっていたり、リンクが死んでたりするのですが、これはこちらでは修正できないので、なんともはや、ですね・・・

[西田亮介]【民主党は革新的提案型政党になれ】~寛容な社会を擁護し、経済成長を肯定せよ~(Japan In-depth) - Yahoo!ニュース
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150119-00010004-jindepth-pol

2015年1月17日土曜日

「受験とは、次のステージに映るためのもの。今は思いもよらない何かと出会うために」『代ゼミジャーナル』


代ゼミの広報誌で、受験観についてのインタビューを受けました。大学受験といえば、もう10年以上も前の話ですが、院生時代含め随分長い間、教育産業でバイトをしてきたので、また自分が受験生のときに、田舎の中途半端な進学校だった中学高校より、よほど効率やパフォーマンスに主眼が置かれたプログラムに惹かれて、予備校カルチャーにどっぷり浸かってきた身には、なかなか楽しいインタビューでした。

西田亮介,2014,「受験とは、次のステージに映るためのもの。今は思いもよらない何かと出会うために」『代ゼミジャーナル』634: 15.

2015年1月14日水曜日

統一地方選挙におけるネット選挙とその展望


地方自治体職員の皆さんを、主たる読み手とした『地方自治職員研修』誌2015年1月号に、今春4月に行われる統一地方選挙を念頭に置いた、ネット選挙論を書きました。

西田亮介,2014,「統一地方選挙におけるネット選挙とその展望」『地方自治職員研修』670: 28−30.


民主党は、労組から自律した、経済成長を肯定し、革新的で、寛容な政党の道を歩むことができるか

18日投開票の民主党代表選が、後半戦を迎えている。中盤以後、ネットでの討論会や若者を対象とした対話集会を開くなど、3候補者の協調路線も目にするようになった。
民主党代表選:ネット討論会 聞かれればお互い持ち上げる- 毎日新聞
「民主党代表選候補者と若者たちの対話集会」を開催
代表選が民主党内部のゲームでありながら、民主党中心に関心が集まる多くの民主党関係者にとって貴重な機会であることを意識するならば、当然ともいえる。他方で、代表選告示の際にも拙稿で懸念したように、3候補の理念と主張が、総体として一瞥可能な水準での差別化が難しく、またコンセプトとしてパッケージングされていないこともあって、メディアも(そして、民主党自身も?)報道の素材に事欠き始めたように見える。後半戦は、民主党の代表選の非有権者である一般的な国民は、どこに注目すれば良いのだろうか。
そんな中、時事通信が、昨日、民主党の重要な支持母体である労組の動向について、わかりやすい解説記事を上げていた。
時事ドットコム:労組票、3候補に分散=決選投票の見方-民主代表選
よく知られているが、民主党は労組を重要な支持団体としている。自民党が、医師会や各種業界団体など経済団体を支持団体としていることと対して考えるとわかりやすい。大まかには、経済団体が雇用主の利益を重視し、労組は被雇用者の利害を重視するという意味である。ただし、日本の場合、企業別組合が強い力をもっているという特殊事情がある。その企業別組合と企業の関係を考えるなら、必ずしも厳しい緊張関係にあるとはいえない。昨今の労組の加入率低迷や、非正規職の増加を考慮すると、やはり(企業別の)労組が被雇用者全体の立場を代弁しているとは言い難いものがある。
とはいえ、政策で見ると、今回の代表選で出てきたLGBTの権利擁護といった論点は、一見マイナーだが、寛容性や多様性の擁護という点で注目すべきで、そして、民主党の結党理念にも遡ることができる論点でもある。こうした寛容性を擁護する政策を、従来同様「リベラル」と標榜するかはさておくとして、しっかり提示していくことは、政権と対照的な、言い方を変えると、際立った特色となりうるものでもある。
なお、なぜ、従来「リベラル」と思われてきた政策を「リベラル」と標榜することに懸念するかというと、日本で「リベラル」というとき経済成長との相性があまり良くない印象があるからである。事実、「リベラル」とされる論者が、縮小経済や定常経済論(?)を展開してきたという事情もある。
しかし、こうした議論は、「失われた20年」のあいだに不景気の影響を痛切に感じてきたであろう多くの一般有権者の感覚とは整合的ではない。共感も、支持も集めないだろう。過去の新聞社等の世論調査でも、年金や医療介護といった生活に密着した主題と並んで、景気や雇用を重視するという結果が繰り返し提示されている。
衆院選中盤情勢:「年金・医療・介護」重視…本社調査- 毎日新聞
個別政策としては先のような寛容性を擁護するような政策は肯定できても、直接「リベラル」と標榜してしまうことで、経済成長や景気を重視し従来の「リベラル」という語感が印象付けるイメージと距離を置きたいような有権者には意図せず忌避されてしまう懸念がある。
言い換えると、経済成長と、その具体的な方法、また金融緩和の是非と経済政策について、より積極的に主張すべきという議論と表裏一体である。現政権の看板である「アベノミクス」が経済政策のパッケージである以上、経済成長とその道筋について提示できないようでは、昨今の有権者の関心を惹きつけることは困難だろう。厳しい風向きのなかで明示的な支持団体である労組の顔色ばかりを伺っているようでは、その他の――とくに小選挙区制導入以後、選挙に大きな影響を与えるようになった無党派層の――有権者の共感や支持は得られまい。
民主党が、そして民主党の次の代表が、経済成長を肯定し、革新的で、寛容な政党に変貌できる道筋を具体的に提示できるなら、もう一度、その可能性を見てみたいと思う一般有権者は意外と存在するのではないか。少なくとも、筆者はその1人である。

2015年1月8日木曜日

民主党代表選候補者共同記者会見とその「印象」


 1月7日の14時から、7日告示、18日投票の民主党代表選候補者共同記者会見が開催され、長妻昭、細野豪志、岡田克也の3氏が記者会見に挑んだ。
3氏の推薦者、略歴、政策は、こちらから。http://www.dpj.or.jp/presidentialelection201501 
まず簡単に政策に目を向けると、集団的自衛権の閣議決定には否定的。ただし、現実的な安全保障の議論は必要という点も共通。野党再編については、3氏とも現時点では、政策が離れていることを理由に、否定的。少子高齢化対策の必要性、地方活性化の必要性も共通する。
言及されなかった政策に目を向けても、長妻氏のリベラル色が際立つものの、3氏の政策的主張は課題点も含めてそこそこ似ており、政策だけ見ると区別をつけづらい。ただ、安倍政権と対峙するという意味では、金融緩和をどのように評価するのか、民主党はどのような金融政策を採用するのかという点には、3者とも明確には言及していない。この点は課題に見える。
しかし、何はともあれ、課題も含めて、政策で区別を付けづらいのであれば、(民主党と関係者内の)基礎票と、メディアと選挙期間中の印象戦が重要になってくると思われる(余談だが、筆者と毎日新聞社は、先日の衆院選で「政治と印象」について、幾つかの分析を行った)
「印象」に注目すると、今日の記者会見はなかなか興味深かった。席順、スピーチの順番は、届け出順か、長妻氏、細野氏、岡田氏という順番で行われた。3氏とも服装はスーツにネクタイ、岡田氏は網膜剥離の手術明けのため眼帯をしており、顔がむくみ、髪型も違和があるものだった。
口調は、長妻氏がやや早口で高め、話している途中で思わず力が入り、拳で机を叩く。語調も「だ、である」調に。一見、力強そうだが、机を叩く音をマイクが拾って、不愉快なノイズになっている。細野氏は声に張りがあり、比較的ゆっくりと、語を切りながら、明晰に発話していた。事前にかなりスピーチの練習をしたものと思われる。もしかしたら、イメージコンサルティングを受けているかもしれない。ただしネクタイは淡い水色で、映像的にはあまり映えない。入院明けの岡田氏は、さすがに見るからに具合が悪そうで、声に覇気が感じられない。薬の影響か、滑舌も悪かった。ところで、2番目に喋った細野氏の印象のみ、前後の話者との直接の比較が可能で、相対的に自信がありそうに見える。
トークの内容についても、少し見てみよう。長妻氏は、「格差が限界に来ている」「野党としての、政権の徹底監視」「熟議をして、そのあと一枚岩になる」という内容。年金問題で知られ、リベラル色の強い同氏の特色を強く打ち出しているといえる。
興味深いのは、本来、野党再編に関心をもつはずの細野氏である。細野氏は「民主党に対する愛着の強さ」「15年間1度も造反はしたことがない」「(過去の民主党の失敗の)反省」「民主党はインフォーマルなやりとりが減っている、これを増やしたい」「国会議員全員が同じ付き合いをするのは無理。グループはできるが、ピンチの時は助けあうほうが全体としてはまとまる」という包摂的な言葉遣いをした。これは多様性を擁護するという今回の政策とも合致する。
岡田氏は「民主党の多様性が失われている」「ひとりひとりに覚悟を求める」「リベラルよりは保守中道、自民党宏池会がもっていたような考え方も包含するかたちで民主党は存在する」「党の中に派閥を作ってはいけない」という。これは自身がかつて代表や幹事長を務めたことを思い起こすと、微妙にネガティブなニュアンスを残すのではないか。
さて印象に注目するとき、とくに興味深いのは、記者会見終了直前の三者が手を組んだ取材用ショットだ。

民主党代表選共同記者会見
民主党代表選共同記者会見

前述のように、写真の並び順は、座った順番そのままなので、細野氏を中央に、2氏が左右に寄り添う構図になっている。実年齢でも細野氏が若いが、しかも身長がずば抜けて高く、にこやかな笑みを浮かべている。長妻氏も笑顔だが、岡田氏は笑顔が、ややぎこちないか。中身や実態を棚上げして、このビジュアルだけみたとき、誰がリーダーのように見えるかといえば、言わずもがなだろう。そして、このビジュアルは夕方以後のニュース番組や新聞、ネットコンテンツなどで、広く、そして繰り返し出回るはずだ。
このように、記者会見を通して概観してみると、計画、計算されたものか、それとも偶然なのかは分からないが、今回の記者会見の印象戦は、細野氏が一枚上手だったように見える。
ところで、ここまでしつこく取り上げてきたものの、民主党の代表選は、基本的には何をやっても民主党の内輪のゲームである。というのも、民主党員でも、サポーターでもない、筆者も含めた一般有権者は投票権を持たないからだ。しかも政策を実行する与党でもないから、実は何を主張したとしても、かたちになるのは、最低でも衆参の国政選挙に民主党が勝利してからということになるので、かなり気の長い話である。
報道関係者や、筆者のような研究者は、なんとなく動向を注視しているが、いったいどれほどの人が関心を持っているのか、というと正直なところ良くわからない。そもそも先日の衆院選の投票率が52.66%という過去最低の数字を記録したが、野党とその代表にまで関心を持つものなのだろうか。
そのようななかで、たとえば、森たかゆき中野区議会議員(民主党)は、「#民主党に言いたい」というハッシュタグを設けたりして、一般有権者の関心を巻き込もうとしている。とはいえ、個別の取り組みに比べると、党として、具体的にどのように巻き込もうとしているのかは、あまり見えてこない。やらないよりは良いが、今さらニコ生で討論会をやれば良いというものでもないだろう。
代表選も良いが、早く政党として、どのような理念を主張し、どのような政策を主張していくのか、それらの実行のためにどのように有権者を巻き込んでいくのかを旗幟鮮明にすべきだ。ときに新自由主義的と評される安倍政権のもとでも、着々とリベラル政党のお鉢を奪うかのような若者の雇用対策が具体化しようとしていたりする。こういうとき、与党は有利だ。
若者の雇用改善へ、企業の認定制度…対策法案 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) 
http://www.yomiuri.co.jp/job/news/20150107-OYT8T50016.html
またかつて民主党も力を入れた規制緩和は、維新の党の代名詞になっている。民主党は主体的には意図しないままに、相対的な政党のポジションがかなり変化している。ところが、民主党自身は、少なくとも外形的には、あまりそのことに自覚的ではないようでもある。そろそろ有権者に主張を明確に伝えていかなければ、来年の参院選はおろか、今年の統一地方選も危ぶまれるのではないか。
なお、3人が手をつないだ写真について、ちょっと検索しただけでも、たとえば、毎日新聞やスポーツ報知が採用していた。動画ニュースのコンテンツを見ると、やはりニュース番組でも、少なからずこの写真を締めに用いたようだ。この写真が視聴者に与えた「印象」について、改めて考えてみてほしい。
<民主代表選>再生へ論戦開始 長妻、細野、岡田氏届け出(毎日新聞)- Y!ニュース 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150107-00000110-mai-pol
長妻、細野、岡田3氏が民主代表選立候補!18日投開票(スポーツ報知)- Y!ニュース 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150107-00000087-sph-soci
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もしこのエントリを読んだ人が、民主党と民主党代表選に何を期待し、あるいは何を期待しないか、ということについて、感想やコメントをいただけると、とても嬉しいです。

2015年1月4日日曜日

2015年はどうしようか

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

あまり細かく考えても仕方ないし同時に中身について現在進行形で考えていることを詳細に書くのも憚られるので、以下、簡潔に今年の目指すべき方向を。現在は、概ね5本立てのポートフォリオ。他にも、いくつか種まきはしているものの、現実的なところではこんな感じ。

■ネット選挙
次の論文と著作の執筆
2015年統一地方選の分析と、2016年参院選について

■ジャーナリズム(ジャーナリスト)論
ジャーナリストのオーラル・ヒストリー
新聞社の報道技術の革新とネット対応

■情報発信と自治体のガバナンス
双方向性を活かした情報発信のための自治体のガバナンス
◯◯市の広報広聴案件

■若年無業者問題
政策研究と政策提言、リスク社会論との接続
支援組織のフィールドワーク

■サーフ・カルチャー研究
サーフツーリズムと日本におけるサーフカルチャー受容に関する著作執筆

2014年は、2013年中盤からジムに行き始めたりして、それまで鈍りきっていた身体が動くというところまでは戻ってきたので、もう少しサーフィン感を取り戻していきたいところ。思えば、それまで海沿い(クルマで30分ほど)の大学院が生活の中心だったため、実にサーフィン三昧だったのが、2010年、2011年は虎の門にて、公務員と同じタイムスケジュールで、いわゆるサラリーパーソンを経験して、2012年から京都が職場になって、すっかり海から足が遠退き、運動不足の人になっていた。2013年の半ばに学会で訪れた福島の温泉の体重計で、体重とそういう生活に愕然として以来、ちまちまと鍛えはじめ、サーフボードをサーフボボードを新調してみたのだった。とはいえ、まだどうもワタワタするというかサーフィン感が戻るというところまではいっていない。というのも、2013年後半は学位取得に集中していたのでジム通いが中断されたからだ。幸い、学位も取得できたので、再度もう少しフィジカルにも鍛えたいところ・・・というわけで、正月早々、ホームセンターでバランスボールを購入して、自宅の居間兼仕事の机を置き換えてみた意識の高さである。

あと、愛車のSaab9−3が9万キロを越え、さすがに各所がへたり気味であることに加えて、今年が車検年なので、買い替えるほかあるまい。適当なプライスのSaab9-5 スポーツエステートの最終型か9-3xクロスオーバーがあればよいのだけど、共にSaab社倒産のあおりを受けて、国内で流通している弾数がすくないようだ。というような情報を入手すべくサイトを見ていたら、もはやエコカー&ミニバン全盛の日本社会ではワゴンは流行らないのか2000年代後半〜2010年頃の国産ワゴンが随分リーズナブルな価格になっていることに気づいたので、次はこのあたりにしようか、などとしばし沈思黙考中・・・

2015年1月1日木曜日

日本学術会議社会学委員会・社会学系コンソーシアム 共催シンポジウム「現代の雇用危機を考える」資料「無業社会の問題系——若年無業者とその支援の現状から」

日本学術会議社会学委員会・社会学系コンソーシアム 共催シンポジウム「現代の雇用危機を考える」の西田報告資料です。

シンポジウムは1月24日@日本学術会議大講堂(乃木坂) 、参加無料(事前申込不要)です。詳しくは、以下のリンクから(リンク先PDF)
http://www.scj.go.jp/ja/event/pdf2/204-s-1-2.pdf

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「無業社会の問題系——若年無業者とその支援の現状から」
西田亮介(立命館大学)

メディアが、そして報道を通じて社会が若年世代の困窮に関心を持ち、若年無業に対する支援施策が政策として本格化したのは、2000年代半ば以後のことだった。1990年代後半の就職氷河期や、ニート、ひきこもりについての、時にセンセーショナルな取り上げ方は、誤解と偏見も生み出した。だが、若年世代の位置付けの変容を、社会に強く意識させることに貢献したともいえる。
 政策面では、関連4省庁の施策について横断的な検討が行われ、地域若者サポートステーションやジョブカフェなどを通した「ワンストップ」の支援態勢も整備されてきた。そこでは、企業やNPOなど、多様な主体の連携による支援が前提となっている。もちろん、その背景には、長い時間と視線が必要な若者支援と、数年のジョブ・ローテーションで担当者が移動していく公的機関の仕組みとの相性が悪く、また原則として直接個々人の支援を行わないという事情もある。
 このように日本でも無業という現象をメディアが取り上げ、支援政策が制度化され、その政策にもとづいて支援機関が支援を実施するようになってきた。言い換えれば、無業の社会化が生じてきた。
 筆者と若年無業者の支援を行う認定NPO法人育て上げネットの代表である工藤啓は、このような社会的状況を踏まえて、日本社会を「(人々は十分に認識していないものの)誰もが無業になる可能性をもち、一度無業になると抜け出しにくい社会」とみなし「無業社会」と呼んでいる(工藤啓・西田亮介,2014,『無業社会 働くことができない若者たちの未来』朝日新聞出版.)。無業という現象の当事者性に対する想像力の喚起を企図したものである。
 その背景には、無業に対する根強い自己責任論への危機意識がある。日本の労働市場と就労習慣、セーフティネットは、主に正規雇用を前提に構築されてきた。だが、1990年代以後の労働市場の流動性の向上や、景気変動によって、労働市場が変容する一方で、社会システムや就労習慣はその変化に十分に対応できずにいる。
 生存権の堅持が国家の主要な存在理由のひとつであり、その費用が社会的な負担である以上、論理的に考えれば、誰にとっても無業の適切な予防と支援が望ましいはずである。ところが誤解にもとづく自己責任論が、人々の連帯を分断し、政治に誤ったメッセージを提示することで、支援施策の拡充と改善を阻害している。
 このような社会状況を前提にしながら、解決のためのどのようなアプローチがありうるのだろうか。「包摂」「連続」「再挑戦」を手掛かりにした、若年無業者支援のための「寛容な社会モデル」の構築が必要であるというのが本報告の問題意識である。

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