松井孝治氏との対談の後編も公開されました。
松井孝治×西田亮介対談【後編】「市民が積極的・主体的に身近な公共にかかわる社会をつくりたい」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40210
※前編はこちら。
松井孝治×西田亮介対談【前編】「官邸では、国の未来像を描き、戦略を立てる仕事が中空だった」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40209
2014年8月31日日曜日
松井孝治×西田亮介対談【前編】「官邸では、国の未来像を描き、戦略を立てる仕事が中空だった」
今年3月に収録した、松井孝治氏へのインタビューが、アップされました。公共の問題と、統治の問題を架橋する深いお話が聞けたと思います。なかなか関心が集まりにくい政治関連のコンテンツですが、結構伸びているのでは。明日には、後編がアップされるはずです。
ところで、このインタビューは、佐藤慶一さんにはじめて編集者として担当いただいたけど、確かに凄腕の方だった。編集も経験がものをいうところがあるので、年長の方の安定感がありがたいことも少なくないだけに、期待の若手編集者ですね。
松井孝治×西田亮介対談【前編】「官邸では、国の未来像を描き、戦略を立てる仕事が中空だった」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40209
ところで、このインタビューは、佐藤慶一さんにはじめて編集者として担当いただいたけど、確かに凄腕の方だった。編集も経験がものをいうところがあるので、年長の方の安定感がありがたいことも少なくないだけに、期待の若手編集者ですね。
松井孝治×西田亮介対談【前編】「官邸では、国の未来像を描き、戦略を立てる仕事が中空だった」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40209
2014年8月30日土曜日
拙著『ネット選挙 解禁がもたらす日本社会の変容』(東洋経済新報社)の書評
大阪商業大学の上ノ原秀晃先生に、選挙学会の『選挙研究』30巻1号において、拙著『ネット選挙 解禁がもたらす日本社会の変容』(東洋経済新報社)のご書評を賜りました。学術的な書評は、学界のコミュニケーションに寄与していることを意味するので、とても嬉しいです。ありがとうございました。
2014年8月29日金曜日
千葉北
湘南にあまりに波がないので、千葉北の某ポイントにお邪魔してきました(ちょっとボケボケ)。インサイドで掘れる、楽しい波でした。ひさびさ。
しかし、もう10年ほど前に、某漁港ポイントの、現在の駐車場があるエリアで車上荒らしにあってから、千葉南はたまにいくものの、千葉北はそれ以来足が遠のいていた気がする(でも数年前御宿には行ったような・・・)。
建設中の幸福の科学大学を偶然発見したのだけど、ほんとにビーチフロント過ぎる。しかし、電車含め公共交通機関のアクセスがあまりに悪いのではないかと余計な心配が・・・
ちなみに、このエントリは、京都の研究室で書いております。明日は、京都で無業者会と政治参加をつなぐ講演。
※追記
ウェットスーツの選択は、難しいですね。海の中も、まちまちといったところ。ぼくは2mmのフルで、ちょっと暑いかな、といった感じ。水温、かなり低いですね。タッパ+トランクスの方もいましたけど、ぼくはムリそう・・・
2014年8月26日火曜日
『るろうに剣心 京都大火編』
気分転換にふらっと観てきた。まさに原作の世代だけれど、原作のイメージを壊さず、それでいてまた原作とはちょっと異なった「マジ感」9割で展開しつつ、時代劇の様式美をバージョンアップしつつつ、この時代にるろ剣を映画化することの批評性を勝手読みしつつ、いや、それより武井咲さんいいよね、という約2時間10分。素晴らしいエンタテイメントでした。続きも見たい。
しかし、余計なお世話だけれども、公式サイトはちょっとなぜこうなったのかよくわからない見辛さな気はする。
http://wwws.warnerbros.co.jp/rurouni-kenshin/index.html
2014年8月25日月曜日
先日から、ちょっと前に義理の妹からもらった、久米島の久米仙「び」を飲んでる。
(株)久米島の久米仙による解説
古酒らしさはあまり感じられないのだけど、すっきりしてて、クセもなく飲みやすい。とはいえ、この前まで、与那国島で買ってきた度数65度の「舞富名」飲んでたので、物足りないといえば物足りない。
Tip. Blog ――東京と京都を行き来しつつ: 舞富名 http://ryosukenishida.blogspot.com/2014/08/blog-post_14.html
アルコール度数も低目で、普段飲むにはこちらのほうが適しているのかもしれない。
2014年8月24日日曜日
「伝統に回帰する」か「さらに国を開く」か -憲法改正論の新潮流―
7月25日に登壇した、憲法のパネルを起こしたものが公開されています。永久さんの企画の妙と、京大の曽我部先生とはじめてお目にかかることができて、知的に楽しい時間でした。
第5回「変える力」フォーラム
【テーマ】
「なぜ、いま、憲法が問題なのか」
【パネリスト】
曽我部真裕(京都大学大学院法学研究科教授)
西田 亮介(立命館大学大学院先端総合学術研究科特別招聘准教授)
松原 輝和(公益社団法人日本青年会議所憲法論議推進委員会副委員長)
【モデレータ】
永久 寿夫(政策シンクタンクPHP総研研究主幹)
「伝統に回帰する」か「さらに国を開く」か -憲法改正論の新潮流― | 社会変革プラットフォーム 変える力
http://www.kaeruchikara.jp/article/1516/
第5回「変える力」フォーラム
【テーマ】
「なぜ、いま、憲法が問題なのか」
【パネリスト】
曽我部真裕(京都大学大学院法学研究科教授)
西田 亮介(立命館大学大学院先端総合学術研究科特別招聘准教授)
松原 輝和(公益社団法人日本青年会議所憲法論議推進委員会副委員長)
【モデレータ】
永久 寿夫(政策シンクタンクPHP総研研究主幹)
「伝統に回帰する」か「さらに国を開く」か -憲法改正論の新潮流― | 社会変革プラットフォーム 変える力
http://www.kaeruchikara.jp/article/1516/
2014年8月21日木曜日
夏休みだから、『頭文字D』一気読みしてみた。
夏の閑話休題。ライトなクルマ好きなので、むろん存在は知っていたものの、80年代生まれからすると、本格的にマンガを読み始めたときには、なんとなく著名なマンガとして連載の地位を占めていたし、日常的に運転するようになったときには漫画を読まなくなっていたのでちゃんと読んだことがなかったわけですよ、『頭文字D』。
ところで、言い訳のように書き連ねておくと、夏季休業期間というのは、組織としての大学は休みで、いろいろ不便なのだけど、ぼくたち大学教員も休みというわけではないのです。まず採点があり、休業期間中に、書籍を書いたり、腰を据えたインプットをしたり、学会にいったり、やってるわけです。そもそも裁量労働制で、幸か不幸か休みの日と仕事の日の区別もよくわからないわけです。
ぼくも、ご多分に漏れず、いろいろと原稿を形にしつつ(いずれも秋口に出て行くはずです)、ちょっと腰を落ち着けた仕事と仕込みを取り組んでいるのですが、ちょっと、こう普段と違うこともしたいじゃないですか(いや、でも仕事もあるし、お盆休みはどこも凄い人だし)、ということで、『頭文字D』に取り組むことにしたわけですよ(注:論理的整合性についてはツッコまないでください)。
しかし、みなさん、知ってましたか。連載が、なんと2013年5月まで続いてたことを!単行本が48巻にもなることを。そして、すべてKindleになっていることを・・・
これはつまり、1995年の連載開始から。19年近い歳月連載が続いていたことになるわけです。というわけで、8月に入ってから、大人買いして、ちまちまと読んでいたわけです。しかし、かつて、コミックというのは、随分高いものだと思っていたけれど、1冊540円で、50巻だとして、27000円くらいなわけです。だいたい講演で、お釣りが出るくらいですね。
通読してみて、これはやっぱりニッポン男子の普遍的なロマンの独断と偏見に満ちた3要素、すなわち、「一見、古い、時代遅れのマシンで、高価な現代的マシンを、現実味がありそうな非現実的テクと特徴でばっさばっさとなぎ倒す」「やたらマシンやドライビングの細部の描写に拘る」「仲間とライバル」をすべて満たしていて、まあ、なんと普遍的な良作なのか、と、感動しました。
クルマ漫画の先輩格の『湾岸MIDNIGHT』と比較してみても、面白いのかもしれませんね(残念ながら、こちらはぼくは好みではないのですが)。
※発見
中古の大人買いセットなら、Kindleよりもっとお得なんですね。しかし、今や収納場所と持ち運びコストは、十分考慮すべきなので、ぼくは仕事で使う物以外は、とりあえずKindle派かな。
ところで、言い訳のように書き連ねておくと、夏季休業期間というのは、組織としての大学は休みで、いろいろ不便なのだけど、ぼくたち大学教員も休みというわけではないのです。まず採点があり、休業期間中に、書籍を書いたり、腰を据えたインプットをしたり、学会にいったり、やってるわけです。そもそも裁量労働制で、幸か不幸か休みの日と仕事の日の区別もよくわからないわけです。
ぼくも、ご多分に漏れず、いろいろと原稿を形にしつつ(いずれも秋口に出て行くはずです)、ちょっと腰を落ち着けた仕事と仕込みを取り組んでいるのですが、ちょっと、こう普段と違うこともしたいじゃないですか(いや、でも仕事もあるし、お盆休みはどこも凄い人だし)、ということで、『頭文字D』に取り組むことにしたわけですよ(注:論理的整合性についてはツッコまないでください)。
しかし、みなさん、知ってましたか。連載が、なんと2013年5月まで続いてたことを!単行本が48巻にもなることを。そして、すべてKindleになっていることを・・・
これはつまり、1995年の連載開始から。19年近い歳月連載が続いていたことになるわけです。というわけで、8月に入ってから、大人買いして、ちまちまと読んでいたわけです。しかし、かつて、コミックというのは、随分高いものだと思っていたけれど、1冊540円で、50巻だとして、27000円くらいなわけです。だいたい講演で、お釣りが出るくらいですね。
通読してみて、これはやっぱりニッポン男子の普遍的なロマンの独断と偏見に満ちた3要素、すなわち、「一見、古い、時代遅れのマシンで、高価な現代的マシンを、現実味がありそうな非現実的テクと特徴でばっさばっさとなぎ倒す」「やたらマシンやドライビングの細部の描写に拘る」「仲間とライバル」をすべて満たしていて、まあ、なんと普遍的な良作なのか、と、感動しました。
クルマ漫画の先輩格の『湾岸MIDNIGHT』と比較してみても、面白いのかもしれませんね(残念ながら、こちらはぼくは好みではないのですが)。
※発見
中古の大人買いセットなら、Kindleよりもっとお得なんですね。しかし、今や収納場所と持ち運びコストは、十分考慮すべきなので、ぼくは仕事で使う物以外は、とりあえずKindle派かな。
2014年8月18日月曜日
TOKYO FM TIMELINE「8月18日(月)星浩『そういえば…日本のネット選挙運動はどうなった?』」に出演します。
本日、TOKYO FM TIMELINE「8月18日(月)星浩『そういえば…日本のネット選挙運動はどうなった?』」に出演します。19時半頃〜10分程度と伺いました。
8月18日(月)星浩『そういえば…日本のネット選挙運動はどうなった?』-TIME LINE (月) 星 浩 #tokyofm_timeline
http://www.tfm.co.jp/timeline/index.php?itemid=84342&catid=1164
8月18日(月)星浩『そういえば…日本のネット選挙運動はどうなった?』-TIME LINE (月) 星 浩 #tokyofm_timeline
http://www.tfm.co.jp/timeline/index.php?itemid=84342&catid=1164
2014年8月14日木曜日
舞富名
何年か前に、与那国島に行ったときに確か酒造見学で気に入って買ってきて、ちまちま飲んでいた泡盛「舞富名」が、とうとうなくなってしまった。与那国島というのは、酒税法上の特例になっていて、度数60度超えの泡盛をつくることができ、何種類か「花酒」として製造されている。ロックでも、一口目からかなり刺激的でありながら、少し氷が溶けてくると独特の円やかさがあり、クセになる。
しかし、ググっていたら、通販で購入できるらしいということも分かった。しかし、与那国島はとても奇妙なところだっただけに、またいつか再訪したい。
入波平酒造
https://awamori.co.jp/irinamihira/
2014年8月13日水曜日
(株)Lalitpur(ラリトプール)の化粧品セットが届きました。
(株)ラリトプールのメンズ化粧品セットが届きました。詳しくないのでよくわからないのですが柑橘系といえばよいのでしょうか、今の季節によく合うとても爽やかな香りです。同社はネパールの家庭などに問題のあった女性の保護や就労支援を行いながら、付加価値の高い化粧品を製造、提供する事業を行っています。
http://lalitpur.jp/
SFCの先輩の向田麻衣さんがファウンダーで、先日、同社が行ったクラウドファンディングの対価として送られてきたものになります。むろん、女性向け商品もあります。オンラインストアを見ると、1ヶ月パックに相当する商品のようですね。
http://lalitpur.jp/products/
2014年8月12日火曜日
「日本のジャーナリズムは「危ない」 ソーシャル時代に必要な記者のスキル」が公開されました
JCEJのジャーナリストキャンプの報告会の抄録が公開されました。朝日新聞社の依光隆明さん、ジャーナリストの菅谷明子さんという著名なお二人のジャーナリストとご一緒させていただき大変光栄でした。藤代さんの素晴らしい采配(?)により、当日は急遽司会役を務めることになったため、発言量は多くはないのですが、なかなか本質的な議論を引き出せたような気がしています。ただし、問題は発言量が少ないわりに、関係各所のみなさまの神経をいちいち逆撫でするような発言をするという悪弊が発動された点につきましては反省しきりの今日この頃です。どうぞご容赦下さいませ。
あと、これのフルバージョンも存在するはずなので、手を加えてどこかで公開できたらよいような気もする今日この頃です。
「日本のジャーナリズムは「危ない」 ソーシャル時代に必要な記者のスキル」
http://www.huffingtonpost.jp/jcej/journalism_b_5624383.html
あと、これのフルバージョンも存在するはずなので、手を加えてどこかで公開できたらよいような気もする今日この頃です。
「日本のジャーナリズムは「危ない」 ソーシャル時代に必要な記者のスキル」
http://www.huffingtonpost.jp/jcej/journalism_b_5624383.html
2014年8月8日金曜日
『無業社会』のKindle版が発売されたようです。
『無業社会』のKindle版が発売になりました。電子書籍好きのみなさまも是非。
またこの間、新しい媒体露出もありました。
なお、これまでの書評一覧はこちら。
『無業社会』書評
http://ryosukenishida.blogspot.com/2014/07/blog-post_26.html
・8月2日付で『聖教新聞』の12面、「スタートライン」にて、特集いただきました(冒頭写真)。
・8月3日、NHK「おはよう日本」にて特集。
※追記
・太田昭宏国土交通大臣のブログでも、ご紹介いただいていたのでした。
無業社会 工藤啓 西田亮介著 朝日新書|太田ブログ|OHTABLOG
http://www.akihiro-ohta.com/blog/2014/08/post-859.html
2014年8月6日水曜日
地方紙のデジタル戦略
日本新聞協会の、業界誌『新聞研究』に新聞のデジタル化戦略の展望に関する論文を寄稿した。
http://ryosukenishida.blogspot.jp/2014/08/blog-post.html
その特集が「デジタルメディアの新展開」。関心事項とも近いので、見本誌にひと通り目を通した。そのなかで、特に印象に残っているのが、地方紙のデジタル戦略だ。今まで不勉強であまり関心がなかったのだが、今回の特集で、地方紙のデジタル戦略に強く興味をもった。
この号には、朝日、毎日、読売各紙のデジタル化の紹介に加えて、河北新報社の八浪英明氏、愛媛新聞社の古田恵一郎氏と、西日本新聞社の吉村康祐氏の論文が収録されている。
先のエントリにも書いたとおり、興味深いのは、圧倒的に後者の内容である。なぜか。遥かに真剣だからである。結局のところ、全国紙のデジタル化の取組は、現状、いずれも紙の「余技」の域を出ない。収益とコンテンツ、そしてそれらに起因した意思決定の関心の圧倒的な中心を、「紙」が占めているからだ。したがって、たとえば、従来の縦割りのガバナンス、取材の手法等々を含めた全面的な見直しには至らず、デジタル部門はデジタル部門でどうするかが、関心の中心になっているからだ。したがって、「記者がTwitterで紙より先に告知を行う」といったアプローチが取組の中心になってしまう。本質のはずがない(加えて、読売は未だソーシャルへの明確なアプローチさえ見えてこない)。
だが、デジタル部門単体で、日本の新聞が紙の新聞と同等の存在感を発揮することなどできるはずがない。「餅は餅屋」ではないが、ITに強いのは当然IT系企業であり、たとえばIT系メディアに決まってるからだ。新聞がデジタルでも生き残っていく方法は、デジタル単体ではなく、紙やその他の資源も含めた総力戦である以外にありえないのではないか。
他方、地方紙は危機感が少し違うようだ。おそらくは、デジタルに限らず、部数減などが深刻な課題となっていて、新しいアプローチを試行錯誤せざるをえない段階に突入しているからだろう。すでに、「余技としてのデジタル」ではなく、新しい可能性を真剣に模索しているように見える。
愛媛新聞社の古田氏の論文内の、松山大との共同研究で得た、若年世代の新聞購読についての結論が印象的だ(この研究の原本が気になるところである)。
西日本新聞社は、グループ内の(株)メディアプラネット内に、「デジタルビジネス部」を設け、総合的なメディア戦略を練っているという。河北新報社は、よく知られているように、東日本大震災の情報発信で、紙とデジタルの双方で重要な役割を果たした。
このように、地方紙のなかには、抜本的なデジタル戦略を試行錯誤している企業があることがわかる。思えば、日本の地方紙は、規模からいえば、海外の先駆的な取組を行っている新聞社と変わらないものも少なくない。その意味では、それらをそのままに取り込めるのも、地方紙である可能性もある。
メディアそれ自体の変動期においては、従来の序列が変化する契機が潜んでいる。思えば、現在の全国紙が、統廃合を経て、現状のようになったのも、大正から昭和にかけての総力戦体制下の変動期であった。そのことを思うと、新聞は再び大きな変動期に突入しようとしているのかもしれない。
http://ryosukenishida.blogspot.jp/2014/08/blog-post.html
その特集が「デジタルメディアの新展開」。関心事項とも近いので、見本誌にひと通り目を通した。そのなかで、特に印象に残っているのが、地方紙のデジタル戦略だ。今まで不勉強であまり関心がなかったのだが、今回の特集で、地方紙のデジタル戦略に強く興味をもった。
この号には、朝日、毎日、読売各紙のデジタル化の紹介に加えて、河北新報社の八浪英明氏、愛媛新聞社の古田恵一郎氏と、西日本新聞社の吉村康祐氏の論文が収録されている。
先のエントリにも書いたとおり、興味深いのは、圧倒的に後者の内容である。なぜか。遥かに真剣だからである。結局のところ、全国紙のデジタル化の取組は、現状、いずれも紙の「余技」の域を出ない。収益とコンテンツ、そしてそれらに起因した意思決定の関心の圧倒的な中心を、「紙」が占めているからだ。したがって、たとえば、従来の縦割りのガバナンス、取材の手法等々を含めた全面的な見直しには至らず、デジタル部門はデジタル部門でどうするかが、関心の中心になっているからだ。したがって、「記者がTwitterで紙より先に告知を行う」といったアプローチが取組の中心になってしまう。本質のはずがない(加えて、読売は未だソーシャルへの明確なアプローチさえ見えてこない)。
だが、デジタル部門単体で、日本の新聞が紙の新聞と同等の存在感を発揮することなどできるはずがない。「餅は餅屋」ではないが、ITに強いのは当然IT系企業であり、たとえばIT系メディアに決まってるからだ。新聞がデジタルでも生き残っていく方法は、デジタル単体ではなく、紙やその他の資源も含めた総力戦である以外にありえないのではないか。
他方、地方紙は危機感が少し違うようだ。おそらくは、デジタルに限らず、部数減などが深刻な課題となっていて、新しいアプローチを試行錯誤せざるをえない段階に突入しているからだろう。すでに、「余技としてのデジタル」ではなく、新しい可能性を真剣に模索しているように見える。
愛媛新聞社の古田氏の論文内の、松山大との共同研究で得た、若年世代の新聞購読についての結論が印象的だ(この研究の原本が気になるところである)。
学生は新聞に掲載されているニュースそのものに無関心であり、新聞を読むという行為自体が習慣化されていない。新聞購読へのハードルは非常に高く、今の新聞のコンテンツをデジタル化しても購入しない。(古田恵一郎,2014,「求められる新聞社の意識改革――無読層をターゲットにした戦略探る」『新聞研究』757.p.25より引用)筆者も、学生と接触していて、同様の感触を得る。そして、おそらくは「(「社会」を知るために)新聞を読むべきだ」という規範的なメッセージは、彼らに届くことはないだろう。
西日本新聞社は、グループ内の(株)メディアプラネット内に、「デジタルビジネス部」を設け、総合的なメディア戦略を練っているという。河北新報社は、よく知られているように、東日本大震災の情報発信で、紙とデジタルの双方で重要な役割を果たした。
このように、地方紙のなかには、抜本的なデジタル戦略を試行錯誤している企業があることがわかる。思えば、日本の地方紙は、規模からいえば、海外の先駆的な取組を行っている新聞社と変わらないものも少なくない。その意味では、それらをそのままに取り込めるのも、地方紙である可能性もある。
メディアそれ自体の変動期においては、従来の序列が変化する契機が潜んでいる。思えば、現在の全国紙が、統廃合を経て、現状のようになったのも、大正から昭和にかけての総力戦体制下の変動期であった。そのことを思うと、新聞は再び大きな変動期に突入しようとしているのかもしれない。
2014年8月3日日曜日
『新聞研究』に論文を寄稿しました。
日本新聞協会のの業界誌『新聞研究』に短い論文を寄稿しました。特集は「デジタルメディアの新展開」。新聞業界(と関係の深い人たち)が、いま、何を考えているのか、知ることができます。
西田亮介,2014,「新聞社の優位性生かした展開を――新たなガバナンス構築と実践に期待」『新聞研究』757: 38-40.
2014年8月2日土曜日
NPO等への寄付税制の「改悪」を防げ
与良さんのエッセイ。
熱血!与良政談:寄付税制が危ない!?=与良正男 - 毎日新聞
http://mainichi.jp/shimen/news/20140730dde012070005000c.html
2011年3月の東日本大震災を受けて、長年提案されていた寄付税制の改正が行われた。寄付する市民にとっては所得税と住民税の税額控除額が拡大し(法人の場合は損金算入の額が増加)、寄付を受けるNPOにとっては寄付金控除の対象となりやすくなった。
概要は、内閣府「寄付税制パンフレット」
http://www5.cao.go.jp/npc/pdf/kihu-panhu.pdf
しかし、この寄付税制が見直しの対象になっているという。東日本大震災のあと、NPO等が迅速に復旧復興にとりかかり、大きな役割を果たした。また、復旧復興にはさまざまな課題もあったが、実は官民連携は過去の災害と比較して、相対的には迅速に行われた。
この背後には、当時与党だった民主党とNPOの緊密な関係があった。民主党の政権運営には、多くの課題があったことが明白だが、数少ない成功例は、当時「新しい公共」と呼ばれたNPO等の環境整備だった。
復旧復興でのNPO等の役割は変わらず、また介護分野も含めて、今後もその役割の重要性は明白である。もともと日本の、NPO等を支援する制度基盤が脆弱であった。それが1995年の阪神・淡路大震災をきっかけにボランティアの役割が社会的認知を受け、20年かけて一歩ずつ制度面での改善も進んできたのであった。
経済対策は確かに重要だが、だからといって、そのしわ寄せをNPO等に向けるのは、必ずしも正しくはないだろう。たった3年で、政権の意思決定の変化を、民間非営利活動に向けるのも適切とはいえない。そのような環境のもとでは、安心して、NPO等が民間非営利活動に専念できないからだ。
また自民党が掲げる地域社会の中間集団の拡充とも、整合的ではない。加えて当該分野は、事業規模が小さく、とても法人減税の財源の規模とは比較にならないはずだ。これらの観点からして、寄付税制の「改悪」は、望ましい政策とは思えない。
熱血!与良政談:寄付税制が危ない!?=与良正男 - 毎日新聞
http://mainichi.jp/shimen/news/20140730dde012070005000c.html
2011年3月の東日本大震災を受けて、長年提案されていた寄付税制の改正が行われた。寄付する市民にとっては所得税と住民税の税額控除額が拡大し(法人の場合は損金算入の額が増加)、寄付を受けるNPOにとっては寄付金控除の対象となりやすくなった。
概要は、内閣府「寄付税制パンフレット」
http://www5.cao.go.jp/npc/pdf/kihu-panhu.pdf
しかし、この寄付税制が見直しの対象になっているという。東日本大震災のあと、NPO等が迅速に復旧復興にとりかかり、大きな役割を果たした。また、復旧復興にはさまざまな課題もあったが、実は官民連携は過去の災害と比較して、相対的には迅速に行われた。
この背後には、当時与党だった民主党とNPOの緊密な関係があった。民主党の政権運営には、多くの課題があったことが明白だが、数少ない成功例は、当時「新しい公共」と呼ばれたNPO等の環境整備だった。
復旧復興でのNPO等の役割は変わらず、また介護分野も含めて、今後もその役割の重要性は明白である。もともと日本の、NPO等を支援する制度基盤が脆弱であった。それが1995年の阪神・淡路大震災をきっかけにボランティアの役割が社会的認知を受け、20年かけて一歩ずつ制度面での改善も進んできたのであった。
経済対策は確かに重要だが、だからといって、そのしわ寄せをNPO等に向けるのは、必ずしも正しくはないだろう。たった3年で、政権の意思決定の変化を、民間非営利活動に向けるのも適切とはいえない。そのような環境のもとでは、安心して、NPO等が民間非営利活動に専念できないからだ。
また自民党が掲げる地域社会の中間集団の拡充とも、整合的ではない。加えて当該分野は、事業規模が小さく、とても法人減税の財源の規模とは比較にならないはずだ。これらの観点からして、寄付税制の「改悪」は、望ましい政策とは思えない。
Kindle Fire HDX
Kindle Fire HDXが、ちょうど期間限定の特売につき、9980円になっていたので、2代目として買ってみた。しかし、重みが345gと、ずっしり感は拭えず(これで読書してたら腱鞘炎になるのでは!)、画面も1280 x 800 (216ppi)とちょっと物足りない感じ。デイリーユースなら、HDXを買うべきという印象ですかね。子ども用とかには、これで事足りるのだろうか、悩ましいところ。
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