与良さんのエッセイ。
熱血!与良政談:寄付税制が危ない!?=与良正男 - 毎日新聞
http://mainichi.jp/shimen/news/20140730dde012070005000c.html
2011年3月の東日本大震災を受けて、長年提案されていた寄付税制の改正が行われた。寄付する市民にとっては所得税と住民税の税額控除額が拡大し(法人の場合は損金算入の額が増加)、寄付を受けるNPOにとっては寄付金控除の対象となりやすくなった。
概要は、内閣府「寄付税制パンフレット」
http://www5.cao.go.jp/npc/pdf/kihu-panhu.pdf
しかし、この寄付税制が見直しの対象になっているという。東日本大震災のあと、NPO等が迅速に復旧復興にとりかかり、大きな役割を果たした。また、復旧復興にはさまざまな課題もあったが、実は官民連携は過去の災害と比較して、相対的には迅速に行われた。
この背後には、当時与党だった民主党とNPOの緊密な関係があった。民主党の政権運営には、多くの課題があったことが明白だが、数少ない成功例は、当時「新しい公共」と呼ばれたNPO等の環境整備だった。
復旧復興でのNPO等の役割は変わらず、また介護分野も含めて、今後もその役割の重要性は明白である。もともと日本の、NPO等を支援する制度基盤が脆弱であった。それが1995年の阪神・淡路大震災をきっかけにボランティアの役割が社会的認知を受け、20年かけて一歩ずつ制度面での改善も進んできたのであった。
経済対策は確かに重要だが、だからといって、そのしわ寄せをNPO等に向けるのは、必ずしも正しくはないだろう。たった3年で、政権の意思決定の変化を、民間非営利活動に向けるのも適切とはいえない。そのような環境のもとでは、安心して、NPO等が民間非営利活動に専念できないからだ。
また自民党が掲げる地域社会の中間集団の拡充とも、整合的ではない。加えて当該分野は、事業規模が小さく、とても法人減税の財源の規模とは比較にならないはずだ。これらの観点からして、寄付税制の「改悪」は、望ましい政策とは思えない。