西田亮介,2014,「ネット選挙と2014年東京都知事選挙」@2014年3月26日電子行政研究会@東洋大学大手町キャンパス.
2014年3月31日月曜日
2014年3月29日土曜日
filled up the tank
やや、ヤラセ気味に、ムリヤリ突っ込んでみた・・・
庶民の悲しみで、増税前に、満タンにしてきた。うちのは、ハイオクなので、地球温暖化対応税も上乗せされて、リッター5円くらい値上がりするらしい・・・
消費増税:運輸業界に悲鳴 ガソリンと温暖化税のダブルで - 毎日新聞 http://mainichi.jp/select/news/20140329k0000e020223000c.html
2014年3月27日木曜日
ネット選挙とクラウドファンディング、近隣分野についての制度に関する現時点での私見
最近、各党協議会などで再びネット選挙関連の法改正に関連した動きが活発化しているようで、ジャーナリズムや企業の方などにインフォーマルに私見をお問い合わせいただく機会も増えてきました。あまり旗幟鮮明にすると、(ビジネス)チャンスを逃す傾向にあるのではないかという気もしなくもないのですが、よく考えてみるとビジネスパーソンでもないので、私見を書いてみたいと思います。
ネット選挙運動(有権者のメール解禁等)はさらに解禁(公選法)、政治におけるクラウドファンディング等は認めるべき(政治資金規正法)、文書図画と個別訪問の制限見直し(公選法)、電子投票は原則保留というのが現時点での私見です。
理由は、ネット選挙運動で、有権者と政治側で、現在政治側のほうが利活用できる範囲が広く、両者の情報の非対称性に違和を感じること。現時点における政治関連のクラウドファンディングは、「売買契約型」「購入型」含め、事実上の「寄附」に近く、クレジットカードのオンライン寄附含めまともに使えるように制度設計すべきと考えるから。ネット選挙運動の解禁が公選法上の文書図画の利活用に関する、ひとつの新しいスタンダードとするなら、他の文書図画についてもネットの影響力や広告費をひとつの尺度に一定程度制限を緩和してもよいと考えられるから。ただし、電子投票は、秘密選挙の原則や、公務としての投票行動の性質を変容しかねないので、これらの課題が解決されない限り、現時点では解禁する合理的理由に欠くと考えられるからです。
ネット選挙運動(有権者のメール解禁等)はさらに解禁(公選法)、政治におけるクラウドファンディング等は認めるべき(政治資金規正法)、文書図画と個別訪問の制限見直し(公選法)、電子投票は原則保留というのが現時点での私見です。
理由は、ネット選挙運動で、有権者と政治側で、現在政治側のほうが利活用できる範囲が広く、両者の情報の非対称性に違和を感じること。現時点における政治関連のクラウドファンディングは、「売買契約型」「購入型」含め、事実上の「寄附」に近く、クレジットカードのオンライン寄附含めまともに使えるように制度設計すべきと考えるから。ネット選挙運動の解禁が公選法上の文書図画の利活用に関する、ひとつの新しいスタンダードとするなら、他の文書図画についてもネットの影響力や広告費をひとつの尺度に一定程度制限を緩和してもよいと考えられるから。ただし、電子投票は、秘密選挙の原則や、公務としての投票行動の性質を変容しかねないので、これらの課題が解決されない限り、現時点では解禁する合理的理由に欠くと考えられるからです。
情報ネットワーク法学会「巧妙化する政策マーケティングへの対抗手段」
情報ネットワーク法学会「ソーシャルメディア時代の情報流通と制度設計」研究会の議論の抄録「巧妙化する政策マーケティングへの対抗手段」がBLOGOSにアップされました。ネット選挙に対する最近の関心事項を、端的にまとめて発言の抜粋としてもらっています。ぜひご一読を(新志さん、山田さん、ありがとうございます)。
http://blogos.com/article/82653/
http://blogos.com/article/82653/
2014年3月26日水曜日
立命館大学2014年度教養ゼミナール (3) サブテーマ:情報と政治――ネット選挙解禁は日本の民主主義にどのような影響を与えるのか
来年度、学部の教養ゼミナール(どの学部でも受講できる?)を担当します。だいぶ議論がこなれてきたので、ネット選挙を扱ってみます。
立命館大学2014年度教養ゼミナール (3) サブテーマ:情報と政治――ネット選挙解禁は日本の民主主義にどのような影響を与えるのか
(下記、https://campusweb.ritsumei.ac.jp/syllabusより一部抜粋)
立命館大学2014年度教養ゼミナール (3) サブテーマ:情報と政治――ネット選挙解禁は日本の民主主義にどのような影響を与えるのか
(下記、https://campusweb.ritsumei.ac.jp/syllabusより一部抜粋)
- 授業の概要と方法 / Course Outline and Method
- ※「教養ゼミナール」は選考科目です。受講希望者は3月24日~4月7日13時の期間中に「教養ゼミナールHP」http://www.ritsumei.ac.jp/liberalarts/seminar/ より必ず登録を行ってください。
サブテーマ:情報と政治――ネット選挙解禁は日本の民主主義にどのような影響を与えるのか
2013年に日本でも「ネット選挙」が解禁された。ただし、ここでいうネット選挙とはあくまで「ネットを用いた選挙運動」のことである。日本におけるネット選挙解禁の、歴史的、法的、社会的側面を基礎から概観しつつ、発展する情報社会のなかでネット選挙解禁が民主主義に与える正負の影響について、議論する。なお、とくに予備知識は必要としない。
- 受講生の到達目標 / Student Attainment Objectives
- ※原則として、変更されることはありません。
※In principle, the information entered will not be changed once submitted. - ① ネット選挙について、制度的な側面と諸外国の事例を含め、具体的に説明できる。
② ネット選挙解禁の歴史的経緯と、2013年7月の参院選に与えた影響を、具体的な事例を交えて説明できる。
③ ネット選挙が今後の日本政治に与える影響について、展望しつつ、日本政治の将来像について議論できる。
- 事前に履修しておくことが望まれる科目 / Recommended Preparatory Study
- とくになし。
- 授業スケジュール / Course Schedule
- ※履修している学生に対して事前に説明があった上で、変更される場合があります。
※Changes may be made after prior notification to students taking the course. 授業回数
Lectureテーマ / Theme キーワードあるいは文献等 / Keyword or References 1 ~ 2 オリエンテーション、ネット選挙解禁とはなにか 3 2013年7月の参院選にネット選挙が与えた影響 4 ~ 5 ネット選挙についての「誤解」 6 ~ 7 ネット選挙解禁の経緯 8 ゲストレクチャー 9 ディスカッション:なぜネット選挙は解禁されたのか 10 諸外国のネット選挙 11 メディアとネット選挙 12 ~ 13 政党の広報戦略とネット選挙 14 ディスカッション:ネット選挙は民主主義にどのような影響を与えるのか 15 情報社会と政治に関する課題と今後の展望
2014年3月24日月曜日
結局、選択肢のない選択を行うことはできない――2014年大阪市長選挙の所感
結局、「選択肢のない選択を行うことはできない」という感想だけが虚しく残った。
投票率も確かに低い。この投票率の低さはおそらく話題になるだろうが、本質とはいえない。最終的には、「正統性を有する統治機構によって、良い政策が、適切なプロセスを経て実行され、それらが実現するか否か」が問題だ。
投票率の低さは、しばしば問題視されるが、今回の大阪市長選挙も形式的には正統性を満たしている。公選法は、下記のように有効得票数について定めている。
大阪市長選、橋下氏が再選…投票率23・59% : 選挙 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) http://www.yomiuri.co.jp/election/local/news/20140323-OYT1T00422.htm?from=tw
出直し大阪市長選、橋下氏が当選 投票率は過去最低 - 朝日新聞デジタルhttp://t.asahi.com/eaof
大阪市長再選の橋下氏の得票は前回の半分 - 47NEWS(よんななニュース) http://www.47news.jp/FN/201403/FN2014032301001940.html
大阪市長選挙 開票速報∥大阪市選挙管理委員会 http://www.city.osaka.lg.jp/contents/wdu240/sokuho/kaihyo_data_10.html2014年の大阪市長選挙は、最終的に投票率23.59%で、橋下徹氏の再選が決まった。一時期、あれほどまでに騒がれた、同氏と維新の会、そして大阪都構想だが、首都圏で生活していると、まったくといっていいほど、話題にならなかった。
投票率も確かに低い。この投票率の低さはおそらく話題になるだろうが、本質とはいえない。最終的には、「正統性を有する統治機構によって、良い政策が、適切なプロセスを経て実行され、それらが実現するか否か」が問題だ。
投票率の低さは、しばしば問題視されるが、今回の大阪市長選挙も形式的には正統性を満たしている。公選法は、下記のように有効得票数について定めている。
(衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員の選挙以外の選挙における当選人)
第九十五条 衆議院(比例代表選出)議員又は参議院(比例代表選出)議員の選挙以外の選挙においては、有効投票の最多数を得た者をもつて当選人とする。ただし、次の各号の区分による得票がなければならない。一 衆議院(小選挙区選出)議員の選挙
有効投票の総数の六分の一以上の得票
二 参議院(選挙区選出)議員の選挙
通常選挙における当該選挙区内の議員の定数をもつて有効投票の総数を除して得た数の六分の一以上の得票。ただし、選挙すべき議員の数が通常選挙における当該選挙区内の議員の定数を超える場合においては、その選挙すべき議員の数をもつて有効投票の総数を除して得た数の六分の一以上の得票
三 地方公共団体の議会の議員の選挙
当該選挙区内の議員の定数(選挙区がないときは、議員の定数)をもつて有効投票の総数を除して得た数の四分の一以上の得票
四 地方公共団体の長の選挙
有効投票の総数の四分の一以上の得票
(強調、下線は引用者による)
投票率ではなく、「有効投票の総数の四分の一以上の得票」とあるから、橋下氏の得票数は、この条件を満たしている。そもそも投票率は、何%なら、十分なのだろうか。投票率100%以外は、相対的にしかその高低を論じることはできない。
(とくに若者の)政治参加云々をいうなら、現象面としての投票率ではなく、具体的な阻害要因である立候補の年齢制限や供託金の金額の見直しに目を向けるべきではないか(とくに供託金の金額は、長いデフレ下にあるのだから、見直されるべき、という議論があってしかるべきにも思える。若年世代や無所属、新興政党ほど、負担感が思いはずだ)。投票率とその普及啓発の議論はしばしば行われるが、根本的な問題については棚上げされている(一般に、現職ほど慣れ親しんだ現行ルールを維持する動機が強く働く)。
今回の大阪市長選挙では、自公はじめ他の政党はそもそも候補者を擁立しなかった。勝算が見えていたので、あえて擁立しなかったともいえる。橋下氏への疑義を呈するのであれば、十分な数の白票を投じるという選択肢もありえなくはないが、それも行われていない。やはり、橋下氏がこの選挙に勝利したのである(マック赤坂氏らへの、暴行疑惑問題がお咎め無しで済めば)。
見方を変えれば、他の政党の不戦敗でもある。制度に課題があれば、制度の変更を行うこともできなくはないが、短期的には、現行ルールのもと戦うしかない。自公が候補者を擁立しないなら、他の政党にとっては尚更チャンスでもあった。最初から勝負を投げるべきではなかったのではないか。有権者は選択肢のない選択を行うことはできない。厳しい選挙戦が予想されただけに、もしも勝てれば、いろいろな風向きを変える起点になりえたかもしれない。その機会に挑戦すらしなかったことを、有権者は冷ややかに見ていただろうし、記憶もするだろう。
「一定の賛同を得た」「多数の横暴は許されない」といった文言は聞き飽きたし、有権者の支持を集められないことも、この数回の主要な選挙を振り返るだけでは明白だ。2015年の統一地方選挙、2016年の国政選挙もある。とくに、リベラル陣営はきちんと選挙に勝つことを考え直すべきだ。
2014年3月23日日曜日
シリーズ「2014東京都知事選をふりかえる」第10回(最終回) ゲスト 座間宮ガレイ氏 (番組ID:lv173185807)
昨日知人からなぜか玉突きで誘われて、遊びに行ってきました。宇都宮さん支持のみなさんと、共産党関係のみなさんの企画だったようです。ツイキャスとかいろいろ回ってたので、広大なネットの海を探すと、どこかに動画が存在しているんじゃないかと思います。失礼ながら、お目にかかるまで座間宮さんについて「ネットコンサルタント崩れの人なのかなあ」などと思っていたのですが、意外と選挙の本質を見てらっしゃると感じました。沖縄での選挙戦のお話など、面白かったです。勉強させていただきました。あと、映画『選挙』の山内和彦さんが司会でいらっしゃっていました。想田監督と、NHK「日曜討論」でご一緒したときに、DVDをいただき興味を持って、山内さんの著書も読んでいたので、意外なところでの出会いでした。得意の「リベラルのみなさんにネオリベと揶揄され、保守のみなさんにリベラルと嘲笑される」的展開を危惧しておりましたが、聞き役ということで終始和やかな会でした、たぶん。
(以下、http://live.nicovideo.jp/watch/lv173185807より引用)
---
今年2月の東京都知事選では、地方選挙におけるネットの活用に関して、初めての本格的な動きがありました。その中でも、ブロガーである座間宮ガレイ氏の活躍には特筆に値するものがありました。このシリーズ最終回は、座間宮ガレイ氏をお迎えし、今回の選挙戦とこれからのネット選挙について語っていただきます。聞き手にはネット選挙についての研究・分析の第一人者である西田亮介氏と、宇都宮選対のサポータズの方々をお迎えします。
日時: 2014年3月21日(金曜)午後8時~ ゲスト:座間宮ガレイ氏(ブロガー)
聞き手:西田亮介氏(立命館大学大学院准教授)
伊藤 昭暢氏(宇都宮選対サポーターズ・ニコ生担当)
井上大輔氏 (宇都宮選対サポーターズ・バナー担当)
他
(以下、http://live.nicovideo.jp/watch/lv173185807より引用)
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今年2月の東京都知事選では、地方選挙におけるネットの活用に関して、初めての本格的な動きがありました。その中でも、ブロガーである座間宮ガレイ氏の活躍には特筆に値するものがありました。このシリーズ最終回は、座間宮ガレイ氏をお迎えし、今回の選挙戦とこれからのネット選挙について語っていただきます。聞き手にはネット選挙についての研究・分析の第一人者である西田亮介氏と、宇都宮選対のサポータズの方々をお迎えします。
日時: 2014年3月21日(金曜)午後8時~ ゲスト:座間宮ガレイ氏(ブロガー)
聞き手:西田亮介氏(立命館大学大学院准教授)
伊藤 昭暢氏(宇都宮選対サポーターズ・ニコ生担当)
井上大輔氏 (宇都宮選対サポーターズ・バナー担当)
他
2014年3月19日水曜日
2014年3月26日 ICPPセミナー「東京都知事選挙におけるインターネット選挙運動の検証」
2014年3月26日に、大手町にてICPPセミナーに登壇します。
(下記、http://kokucheese.com/event/index/155093/より引用)
---
電子行政研究会では、参議院選挙におけるインターネット選挙運動を検証し、今後の選挙制度改革を提言するために公開セミナーや意見交換会を行ってきました。
今回のセミナーでは「東京都知事選挙におけるインターネット選挙運動の検証」をテーマに議論を行います。パネリストには、インターネットと選挙運動の分野で活動に取り組んでいる研究者、選挙プランナー、地方議員をお招きします。
パネリスト(五十音順):
音喜多駿(東京都会議員/みんなの党東京都議会第6支部支部長)
西田亮介(立命館大学特別招聘准教授)
松田馨(選挙プランナー/株式会社ダイアログ代表取締役社長)
モデレーター:
山田肇(東洋大学教授/情報通信政策フォーラム理事長)
開催概要
日時 2014年03月26日(14時~17時)
開催場所 東洋大学大手町サテライト(新大手町ビル1階)
参加費 2,000円(税込)
定員 50人(先着順)
申し込み開始 2014年03月05日 00時00分から
申し込み終了 2014年03月26日 11時00分まで
主催
情報通信政策フォーラム 電子行政研究会
http://kokucheese.com/event/index/155093/
(下記、http://kokucheese.com/event/index/155093/より引用)
---
電子行政研究会では、参議院選挙におけるインターネット選挙運動を検証し、今後の選挙制度改革を提言するために公開セミナーや意見交換会を行ってきました。
今回のセミナーでは「東京都知事選挙におけるインターネット選挙運動の検証」をテーマに議論を行います。パネリストには、インターネットと選挙運動の分野で活動に取り組んでいる研究者、選挙プランナー、地方議員をお招きします。
パネリスト(五十音順):
音喜多駿(東京都会議員/みんなの党東京都議会第6支部支部長)
西田亮介(立命館大学特別招聘准教授)
松田馨(選挙プランナー/株式会社ダイアログ代表取締役社長)
モデレーター:
山田肇(東洋大学教授/情報通信政策フォーラム理事長)
開催概要
日時 2014年03月26日(14時~17時)
開催場所 東洋大学大手町サテライト(新大手町ビル1階)
参加費 2,000円(税込)
定員 50人(先着順)
申し込み開始 2014年03月05日 00時00分から
申し込み終了 2014年03月26日 11時00分まで
主催
情報通信政策フォーラム 電子行政研究会
http://kokucheese.com/event/index/155093/
2014年3月18日火曜日
(共著分担執筆):『ソーシャル・エンタプライズ論――自立をめざす事業の核心』
有斐閣から、共著分担執筆をした書籍が発売されます。
4月上旬刊行予定です(都市伝説では3月末刊行だったような?)。
一橋大学名誉教授の鈴木 良隆先生が編者です。
「第2章 ソーシャル・エンタプライズの登場と背景」
「第3章 現代のソーシャル・エンタプライズ」
を担当しました。
Amazonあたりに発売予定が出たら、再掲します。
『ソーシャル・エンタプライズ論――自立をめざす事業の核心』
http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641164390
4月上旬刊行予定です(都市伝説では3月末刊行だったような?)。
一橋大学名誉教授の鈴木 良隆先生が編者です。
「第2章 ソーシャル・エンタプライズの登場と背景」
「第3章 現代のソーシャル・エンタプライズ」
を担当しました。
Amazonあたりに発売予定が出たら、再掲します。
『ソーシャル・エンタプライズ論――自立をめざす事業の核心』
http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641164390
2014年3月11日火曜日
中小企業基本法に基づく中小企業支援を事業型NPOの支援にも適用すべき?
先日、国際公共経済学会の第2回春季大会が開催された。同学会の春季大会では、「政策VOTE」という政策立案コンペを、通常の学会報告に加えて取り入れている。政策提案を実施し、実務者と研究者がコメントして、優れた提案を投票して選ぶという企画だ(詳しくは下記エントリ等参照のこと)。
中小企業のセーフティネット化(≒NPO化)と、NPOの企業化が同時に進むのであれば、すでに存在する多様な中小企業の支援施策については、事業型NPOへの適用を認めるべきではないかという提案だ。
震災復興や一部のビジネス・インキュベータで、運用のなかでそういった事例があることは知っていたが、公式にもこういった取組が始まっていた。
経済産業省を所轄として、中小企業支援を広く手がける独立行政法人中小企業基盤整備機構の事業がそうだ。以前は、「等」のなかに、NPO法人も含まれていて、裁量の範囲になってしまっていた。ところで、ご存知ない方も少なくないと思うが、日本では、ベンチャー企業支援から、商店街振興、農商工連携、共済と幅広い分野が、中小企業支援の支援施策に存在している。語感では「ベンチャー企業」と、「中小企業」はかなり異なるが、政策的には、同じく中小企業支援なのだ。そのなかで、中小機構は、資本金約1兆1000億円の巨大な組織として存在する。
その中小機構において、一部の中小企業支援事業が、NPOを対象として明記されるようになっていた。
中小企業支援施策の常で、制度が複雑で、とっつきにくいが(この辺りは、改善とアウトリーチ必須だろう)、各地の中小企業振興公社や中小機構の各地域本部等々に問い合わせれば、丁寧に説明してもらえるはずだ。
この他にも多様な投資減税や税額控除、交際費の損金算入等々において、中小企業のほうがNPOよりも有利になっている。NPOも収益事業については、法人税の対象となるので、納税主体であるから、優遇措置も同等にしてもよいのではないか(NPOを有利にする必然性は乏しいとしても、同等であってもよいのではないか)。
行革の文脈では、中小機構が必要か否かについても、議論されたことがある。しかし、働いている人もいる以上、すぐに潰すというのも現実的ではないだろう。むしろ、巨大な資源を持っているので、そのパフォーマンスを改善させていくという選択肢として十分にありえるはずだ。
また中小企業事業者数に対して、NPOの数は現状5万件に満たない程度で、事業型NPOとなるとさらにかなり少なくなってしまうので、中小企業とNPOでの資源の奪い合いにはなりにくいのではないか。
さらに事業型NPO向けの既存の支援施策(内閣府系列や地方自治体独自のもの)は、ノウハウや目利き不足等が理由で、傑出した一部の施策を除いたその大半は、十分に機能せず、それがまた事業型NPOのスケール拡大の阻害要因にもなっている現状がある。実態として、営利法人と非営利法人の性質が近づいている部分があるわけだから、支援メニューについても共有できるものは共有したほうが合理的だろう。
その意味でも、今回の中小機構の取組は肯定的に評価できるといえる。より広範に、中小企業支援施策が、事業性の高いNPOにも適用することで、事業型NPOのスケール拡大に貢献してほしい。
政策研究者が政策提言能力を磨く――国際公共経済学会次世代研究部会「次世代政策VOTE」の取り組み(西田 亮介) - Y!ニュース http://bylines.news.yahoo.co.jp/ryosukenishida/20130331-00024171/政策研究と政策提案は似ているようで、大きく違う側面があるが、後者の能力を知的に厳しく磨くよい機会になっている。昨年度が第一回で、その設計からかかわったのだが、今年は「事業型NPO法人への中小企業基本法に基づく中小企業支援施策の対象範囲拡大の提案」という報告を行った。
中小企業のセーフティネット化(≒NPO化)と、NPOの企業化が同時に進むのであれば、すでに存在する多様な中小企業の支援施策については、事業型NPOへの適用を認めるべきではないかという提案だ。
震災復興や一部のビジネス・インキュベータで、運用のなかでそういった事例があることは知っていたが、公式にもこういった取組が始まっていた。
経済産業省を所轄として、中小企業支援を広く手がける独立行政法人中小企業基盤整備機構の事業がそうだ。以前は、「等」のなかに、NPO法人も含まれていて、裁量の範囲になってしまっていた。ところで、ご存知ない方も少なくないと思うが、日本では、ベンチャー企業支援から、商店街振興、農商工連携、共済と幅広い分野が、中小企業支援の支援施策に存在している。語感では「ベンチャー企業」と、「中小企業」はかなり異なるが、政策的には、同じく中小企業支援なのだ。そのなかで、中小機構は、資本金約1兆1000億円の巨大な組織として存在する。
中小機構:機構について: 中小機構の概要
http://www.smrj.go.jp/kikou/gaiyou/001182.html
その中小機構において、一部の中小企業支援事業が、NPOを対象として明記されるようになっていた。
中小機構: 平成25年度補正予算 創業補助金(創業促進補助金)公募のご案内
http://www.smrj.go.jp/utility/offer/075939.html
中小機構:経営支援: 助成金(地域中小企業応援ファンド【スタート・アップ応援型】)創業、第2創業に係る費用の3分の2負担や、長期間無利子で事業費を貸与するファンドなどの対象として、NPOが明記されるようになっていた。
http://www.smrj.go.jp/keiei/chikipg/fund/index.html
中小企業支援施策の常で、制度が複雑で、とっつきにくいが(この辺りは、改善とアウトリーチ必須だろう)、各地の中小企業振興公社や中小機構の各地域本部等々に問い合わせれば、丁寧に説明してもらえるはずだ。
この他にも多様な投資減税や税額控除、交際費の損金算入等々において、中小企業のほうがNPOよりも有利になっている。NPOも収益事業については、法人税の対象となるので、納税主体であるから、優遇措置も同等にしてもよいのではないか(NPOを有利にする必然性は乏しいとしても、同等であってもよいのではないか)。
行革の文脈では、中小機構が必要か否かについても、議論されたことがある。しかし、働いている人もいる以上、すぐに潰すというのも現実的ではないだろう。むしろ、巨大な資源を持っているので、そのパフォーマンスを改善させていくという選択肢として十分にありえるはずだ。
また中小企業事業者数に対して、NPOの数は現状5万件に満たない程度で、事業型NPOとなるとさらにかなり少なくなってしまうので、中小企業とNPOでの資源の奪い合いにはなりにくいのではないか。
さらに事業型NPO向けの既存の支援施策(内閣府系列や地方自治体独自のもの)は、ノウハウや目利き不足等が理由で、傑出した一部の施策を除いたその大半は、十分に機能せず、それがまた事業型NPOのスケール拡大の阻害要因にもなっている現状がある。実態として、営利法人と非営利法人の性質が近づいている部分があるわけだから、支援メニューについても共有できるものは共有したほうが合理的だろう。
その意味でも、今回の中小機構の取組は肯定的に評価できるといえる。より広範に、中小企業支援施策が、事業性の高いNPOにも適用することで、事業型NPOのスケール拡大に貢献してほしい。
2014年3月10日月曜日
「事業型NPO法人への中小企業基本法に 基づく中小企業支援施策の対象範囲拡大の提案」
・西田亮介,2014,「事業型NPO法人への中小企業基本法に基づく中小企業支援施策の対象範囲拡大の提案」@国際公共経済学会第2回春季大会(2014年3月9日東洋大学白山キャンパス).
http://ciriec.com/conference/spring
2014年3月6日木曜日
2014年3月2日日曜日
オープンデータを先導する福井県鯖江市が全国の自治体に先駆けて、ウェブの標準化団体W3Cに加盟
「データシティ鯖江」の名で、全国の自治体に先駆けて、行政情報の公開と、そのデータの官民協働に取り組んでいる福井県鯖江市が、全国の自治体ではじめて、ウェブの標準化団体W3Cに加盟しました。
鯖江市は、2010年以来、民間でのアプリ開発を主導するjig.jpの福野泰介さんや、地域活性化プランコンテストなどユニークな市民協働事業を次々に提案しているNPO法人エル・コミュニティの竹部美樹さん、市政をリードする牧野市長、オープンデータを主導する情報広報課等が、総合的に地域情報化と市民協働、そして新しい情報化のためのガバナンスの創造を先導してきました。眼鏡や漆器など多様な地域資源もあり、先日ネットで話題になったような妙な名称を事業につけたりする必要など全くないわけで、今後のいっそうの展開が楽しみです。
自治体初、“眼鏡の街”鯖江市がW3C加盟へ「オープンデータ」推進で - ITmedia ニュース
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1402/26/news101.html
鯖江市『平成26年度 当初予算の概要』P.5W3Cへの加盟で、今後の技術の標準化に際して、日本の自治体からのニーズを積極的に提案していくことや、技術の最新動向をいち早く行政の情報化に導入していくことが期待されます。
http://www3.city.sabae.fukui.jp/kishakai/1403/img/1403-01-1.pdf
鯖江市は、2010年以来、民間でのアプリ開発を主導するjig.jpの福野泰介さんや、地域活性化プランコンテストなどユニークな市民協働事業を次々に提案しているNPO法人エル・コミュニティの竹部美樹さん、市政をリードする牧野市長、オープンデータを主導する情報広報課等が、総合的に地域情報化と市民協働、そして新しい情報化のためのガバナンスの創造を先導してきました。眼鏡や漆器など多様な地域資源もあり、先日ネットで話題になったような妙な名称を事業につけたりする必要など全くないわけで、今後のいっそうの展開が楽しみです。
ネット選挙解禁とGR/PA
企業の渉外や広報、公共政策部門のみなさん中心の研究会で報告し、議論しました。最近、ネット選挙解禁に伴う政治と情報技術の接点の増加と、それに伴うGRやPAの高度化、さらに民主主義との両立に関心があります。とくに民主主義の両立においては、ジャーナリズムの高度化が必須だろうな、と。このあたりは、『ネット選挙とデジタル・デモクラシー』(NHK出版)の後半で触れた論点でもあります。このあたりの最新事例は、圧倒的に企業のみなさんがお詳しいので、議論を通じて大変刺激をいただきました。
西田亮介,2014,「ネット選挙解禁とGR/PA」@第2回GR/PA研究会(2014年2月27日).
西田亮介,2014,「ネット選挙解禁とGR/PA」@第2回GR/PA研究会(2014年2月27日).
2014年3月1日土曜日
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