Googleトレンドは、検索量が、相対的に表現されている。範囲内の最大値を100として比較している。検索量はプラットフォームのコアコンピタンスなので、絶対値は公開されていない。したがって、前者と後者の絶対量を表現したものではないことに注意する必要がある。
また「Yahoo!ビッグデータ」は、検索量と議席獲得数のあいだの相関関係を指摘したものの、それが一般的に観察できる傾向かどうか、またGoogle検索でも同様の傾向にあるかどうかはわからない。つまり、検索量と当選結果の関係性は、現時点では明確ではないことに注意が必要である。
ビッグデータが導き出した参議院選挙の議席予測−Yahoo! JAPANビッグデータレポート http://event.yahoo.co.jp/bigdata/senkyo201307/とはいえ、それらの注意を念頭に置いても、なかなか興味深い結果だった。
■2014年東京都知事選挙主要4+1候補
- 2014年1月23日木曜日
- 2014年1月30日木曜日
■2013年参院選の山本太郎候補、三宅洋平、鈴木寛候補
- 2013年6月30日~7月6日
- 2013年7月14日~20日
- 2013年7月21日~27日
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2013年参院選の3者は、検索量には大きな差があったものの、7月21日の投開票日に向けて、3候補ともに検索量が増加していることがわかる。とくに山本候補の場合は、見事に、投開票日前後に、検索量をもっとも増加させていた。三宅候補も同様の傾向にあった。
2014年東京都知事選挙主要4+1候補はどうか。IT起業家として知られる家入候補が突如立候補を表明したこともあり、1月23日の告示日には、顕著に検索量が増えた。しかし、その後急落している。ウェブサービスやアプリのローンチ直後と似たような状況である。またその他の候補に至っては、告示日以前よりも検索量が減ってしまっている。
2014年の東京都知事選では、各候補がネット選挙のさまざまな対策を行ったことが指摘されたが、少なくとも現時点では検索量を増やすことには有効に貢献していないといえる。選挙戦も残すところおよそ1週間となった。後半戦の展開にも注目したい。
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2013年のネット選挙の経緯と民主主義、キーパーソンへのインタビュー等についてはこちら→
西田亮介,2013,『ネット選挙とデジタル・デモクラシー』NHK出版.
日本におけるネット選挙解禁の経緯や、論点等についてはこちら→
西田亮介,2013,『ネット選挙 解禁がもたらす日本社会の変容』東洋経済新報社.