2013年2月3日日曜日

ワークショップの「罠」

さまざまな場面でワークショップが取り入れられる機会が増えた。授業でも導入することもあれば、ワールドカフェのファシリテーターの依頼をうけることもある。ワークショップ、というよりも、参加型の企画の利点であり、かつ問題点は参加者の満足度が総じて高いことである。参加者にとっては普段考えない対象に対して、頭を動かし、他者と議論をし、ときには報告したりすることが、どうやら企画に対する満足度につながるようだ。その意味において、ある対象に対する参加や関心の動機付けについて、ワークショップは「効く」。しかしワークショップのアウトカムはどうか、と問われると必ずしも、十分なものとはいえないことが多い。というよりも、大半がそうである。デザイン思考の重要性はわかるが、デザイン思考で有名なIDEOでは(プロトタイピングでさえ!)、異なる分野において十分な専門性を持った専門家が、特定の問題解決を考えるために、丸一日のセッション、というよりも、無形の議論を、連続して積み重ねている。言い換えれば、「普通の人」を集めて2時間ほどちょろっと議論したところで、参加者の動機付けと、企画への高い満足度以外に得られるものは乏しい可能性が高い。もっとも企画主催者としては、後者こそが最重要な課題なのかもしれないが。