鯖江市はもともとメガネのまちとしてしられているが、ここ数年「情報のまち」としての知名度を高めている。特に公共データの公開に積極的で、公共LOD賞という賞を受賞したことでも知られているように、日本屈指のオープンガバメントを推進する自治体なのだ。
以前から訪れたいと思っていたのだが、つい数ヵ月前にW3Cのチームとご一緒させていただくという稀有な機会があって訪問は実現した。
今回は政策と組織設計について知りたくて、単独で訪問したのであった。鯖江市役所情報統計課のみなさま、前回もアテンドいただいた(株)jig.jpの福野泰介さん、鯖江市地域活性化プランコンテストを主催する竹部美樹さんらに大変お世話になりました。
結論からいうと、「素晴らしい制度や組織設計があるのではないか」という外部者にありがちな期待と仮説はもろくも崩れ去り、鯖江市の情報化がより大きな文脈のなかで成立しているのだということを知りました。現場に出て仮説が崩れ去るというのは、一瞬がっかりしますが、フィールドワーカー冥利につきるわけで、どうまとめようか再考します。
しかし鯖江というのは不思議なまちで、すごく住みやすく感じます。駅前にはホテル、病院、レンタカー、中心市街地があり、中心市街地の飲食店はちゃんと営業している。チェーンのカフェこそないものの、地元の喫茶店では無料の公衆無線LANが飛んでいます。街中も市の公衆無線LAN事業で、無線LANが入る多くの場所があります。また書店も2店も営業しています。一般に中心市街地のなかで書店はかなり早期にシャッターをおろしてしまう印象がありますが、ちゃんと新刊も入荷しているようでした。また中心市街地には偶数月と奇数月交替で車を道路に止められるようになっている。また寺社が複数あり、いうまでもなく魚介類と梵というおいしい日本酒がある。地元の商店も「ローカルオンリー」というわけではなく、きちんと内装等をアップグレードしています。これはきちんと調べていないのですが、少なくとも中心市街地は電線の地中埋め込みをやっているのではないでしょうか。電線が視界に入らず、気持ちの良い視界でした。NPO活動も盛んだと聞きました。今回は立命館の立地する京都から向かったのですが、特急利用で1時間15分くらいでしょうか。とても近い。情報や政策と無関係に、好きなまちといえるでしょう。ぼくは典型的な「(不便でも、人間味と情緒に溢れた)地方が好き」というタイプの研究者ではないので、少なからず驚きました。また必ず来鯖(「鯖江に行く」という意味だそうです)します。直近だと、8月4日に開催される「電脳メガネサミットin鯖江」になるでしょうか。お時間設けてくださった関係のみなさま、本当にありがとうございました!
(初めての電脳メガネ。装着させていただきました)
(JR鯖江駅。七夕の飾り付け)
(鯖江ドッグ)
(サバエドッグ。米を豚肉で巻いたものが揚げてある。美味)
(中心市街地内の道路に駐車を認める看板)
(新しくできた眼鏡会館内のカフェの小物。鯖江には随所にメガネ関連製品が)