2016年4月26日火曜日

三菱自動車についての雑感

Nishida, Ryosukeさん(@ryosukenishida)が投稿した写真 -

何度目かの不祥事で揺れる三菱自動車だが、いまの愛車は三菱自動車なわけで結構気に入って乗ってはいる/いた。三菱問題の難しさと若干の悲しみは、もともと世界ラリーでの活躍や四駆が売りだっただけに、もともとは三菱自動車のクルマに燃費を求めるユーザーというのはそれほど多くなかったはずだ。むしろタフさ、速さ、そして信頼性が商品の強みだったはずだ。ところが過去の不祥事の発覚や世界ラリーのレギュレーション変更、不景気局面における日本の顧客の過剰なまでの燃費志向など、相次ぐ向かい風のなかで、なぜかブランドの強みではなかったはずの燃費競争や軽自動車に経営資源を集中しつつ、参入していった。ランエボなど目玉だったはずの尖ったクルマは廃番、開発中止となり、今や燃費重視のクルマや軽自動車がラインナップ中心だったが、競合他社と比較しても、あまり魅力的とは言いがたかった。少なくとも、過去のブランドアイデンティティの整合性が取れているとはいえなかっただろう。そこに今回の不祥事の発覚である。しかも続報がきつい。

三菱自動車燃費不正 1990年代から同様の手口でデータ改ざんか
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00322953.html

三菱自動車 4輪駆動車に2輪駆動車のデータ流用 | NHKニュース  
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160426/k10010498321000.html

たとえば、冒頭の写真のように、うちのクルマはもともと明らかに燃費重視のクルマではないので、今回も当初は他人事のように見ていた。だが、一事が万事という言葉に象徴されるように、不正の続報が続いている。しかも四駆というある種の同社の象徴にまで不正があったとは驚きを隠すことができない。こうなってくると、うちのような車も範疇に含まれてくるし、なにより、メーカーとしての信頼性に欠くというほかない。これではどこまで信頼できるのか、まったく期待できないように思えてしまう。そして、やや他人事のようにいえば、すでに三菱自動車の現在のラインナップは、燃費重視の車や軽自動車が中心になってしまっていて、今回それらのブランド価値、信頼性が大きく毀損されたことになるが、ほかに立て直しの基軸となりうる商品が見当たらないからだ。経営危機において撤退戦をいかに戦うか、そしてその困難と重要性を示唆するという意味において、意外と人口減少と高齢化に伴う社会保障費増大に直面し、社会として縮小局面に直面した日本社会の将来像における重要な問いを投げ掛けているような気もする。縮小局面において、いかにして矜持と存在感をもって撤退戦を戦うか。あくまで自動車メーカーの比喩でいえば、マツダや富士重工のように、新しい存在感をもって息を吹き返した企業もある。自動車業界は、かつて日本を代表した/いまも存在感をもつ産業だけに、単なる自動車に対する興味だけではなく、その趨勢、動向をとても興味深く見守っている。