2013年9月30日月曜日
「大学教員準備プログラムの発展を目指して」に参加しての所感
先日、担当している大学院キャリアパス推進室の業務で、東北大学高等教育開発推進センターが主催する大学教員をめざす大学院生の全国交流会「大学教員準備プログラムの発展を目指して」にオブザーバー参加してきた。現時点では大学院、とくに博士課程のキャリアパス支援を本格的に行っている大学は、先方の調べでは立命館を含めて10大学程度に留まっているようだ。昨今、文科省から特別経費を得ている東北大のようなケースもあるものの、プレFDや国立大学の研究科裁量予算、個々の教員の提案科目として行っているケースが多いようだ。その意味では私大として、十分とはいえないものの、2010年から博士キャリアパス推進室(2013年に「大学院キャリアパス推進室」に改組)を設け、教学研究一体となってこの問題に取り組んでいる立命館は比較的先駆的なケースといえる。とはいえ、共通教育推進機構の沖先生が中心となっている、極めて実践性が高い「PFF(Preparing Future Faculty)プログラム」も、「大学院キャリアパス支援プログラム」も総じて、参加者数が伸びない。これは交流会に参加している(したがって、相対的にキャリア問題に関心が高いと思われる)国立大の院生でさえ、研究以外の活動に時間を割くことに抵抗感を表明していた。PFFプログラムも基本的に人材の供給サイドへのテコ入れであって、そもそも本当に採用のときにこうしたプログラムの受講やサーティフィケートが有効に機能するのかは正直よく分からないという問題を抱えている。少なくとも断言はしにくい。また人材の採用、つまり需要側へのテコ入れなしに、プログラムを拡充していくことへの疑問がないわけでもない。そもそもポスト数が絶対的に足りていないのだから、その根本対応ではないということもある。とはいえ、現実の大学教育の現場では、研究力もそうだが多様な能力が必要とされていることもまた事実で、両者を両目でにらみつつ、プログラムの開発と、制度側のテコ入れを行うことが求められているように思った・・・と、口でいうのは簡単なのだけど、具体的に仕事に落としていくとなると大変難しい問題であるということを再確認させていただく良い機会だった。