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西田亮介研究室について (about Dr. Ryosuke NISHIDA's Lab.@titech)
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2015年7月24日金曜日

日本経済新聞社による英フィナンシャル・タイムズの買収は日本の新聞社の構造改革の端緒になるか

日本経済新聞社による英フィナンシャル・タイムズの買収が、当の日経からもアナウンスされた。
日経、英FTを買収 ピアソンから1600億円で:日本経済新聞
日本のメディア企業の挑戦として素直に喜ばしい。日本の新聞各社は発行部数でこそ世界でトップクラスの座を占めている。2011年時点でみると、世界の新聞発行部数の1位~3位、5位にそれぞれ読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、日経新聞がランクしている。
しかし、その一方で、日本語という言語の問題もあり、基本的にはビジネスの大半を国内を対象としてきた。言い換えると、メディアとしての存在感、プレゼンスも基本的には国内に留まっていた。発行部数の規模とは合致しない。
その意味では今回の買収は、日本の新聞社による、名実ともに世界トップクラスの経済紙の買収という挑戦であり期待したい。
とくに下記の記述の具体性はやや気になるところでもある。
両社は記者、編集者をはじめとする人的資源や報道機関としての伝統、知見を持ち寄り、世界的に例のない強力な経済メディアとしての進化をめざす。
出典:日経、英FTを買収 ピアソンから1600億円で:日本経済新聞
日本の新聞社の課題(の少なくとも一部)は、旧態依然としたコンテンツ(の文体や筆致)、やはり伝統的な報道手法とガバナンスの慣習、コンテンツとビジネス基盤のアンバンドリングにある。
なぜ、メディアの選挙報道は有権者に伝わらないのか――客観報道に加えて、意味内容の解説を(西田亮介)- Y!ニュース
新聞の戸別宅配制度のない英米圏の新聞各社は、既に幾度かの激変期を経験済みである。80年台頃からのニューメディアに対するコンテンツ提供の試行錯誤、ネット対応、そしてリストラと売買収に伴うスリム化と人件費削減、ビジネスモデルの変質である。日本の新聞各社は、控えめにいってみてもいずれも中途半端に留まっている。ポジティブに捉えれば、読者の「信頼」と戸別宅配に支えられて変わらずにいられた。ネガティブにいえば、その基盤に支えられるがゆえに相対的に規模が小さい新領域への対応に失敗するという、アメリカの経営学者クレイトン・クリステンセンがいうところの「イノベーション(イノベータ)のジレンマ」状況にある。
今の大学生以下の世代には、就職活動の時期を除くと、新聞を読む習慣が形成されていない。現行の新聞各社のビジネスモデルはいつまで持続可能なのだろうか。
今回の日経新聞社の挑戦は、確かに新しいコンテンツやビジネスモデルも気になるところだが、メディア環境や背景、ビジネスモデルは違えど、シビアな変化に晒されてきた海外メディアの経験を活かし、日本の新聞社の構造改革の端緒になるかという点にも注目したい