2013年6月10日月曜日

人社系院生が、学振なしで生活するために必要なコスト試算(仮)

大学院卒人材のキャリアに関する仕事を、大学で担当しているので、自身が院生だったさほど遠くない過去を思い出して、必要な生活コストを算出してみた。イメージしたのは、
・人文社会科学系。
・国外学会、国外調査を除いた研究費が必要と仮定。
・書籍が主な研究費の費目で、これはいろいろな考え方があるけれど、1日1冊1500円の本を読むと仮定。論文を書く時期にはもっと読むだろうし、図書館で借りたりもするので全て買うとは限らないけど、専門書の価格が高いことを鑑みつつ、これくらいで均してみた。
そうすると下記のような結果に。
学費:50万円(立命館博士課程の場合)
生活費:10万円×12ヶ月=120万円
家賃光熱費:6万円×12ヶ月=72万円
研究費:85万円〜100万円前後
 ・書籍1500円×365日=54万7500円
 ・学会費、旅費(国内学会参加費、調査等)、その他(PC、ソフト) 30万円〜50万円
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合計:約327万円〜342万円
月額換算:約27.25万円〜約28.5万円
これは意外とびっくりなコストではないか。というか、こんなざっくりとした単純計算で、おそらく同年代の平均年収を上回ってしまっている。研究費が大きな割合を占めているから実質的にはさほど贅沢な生活水準とはいえないと思うけど、それでもやはり学ぶ≒研究を行う生活を維持するには相当のコストがかかることが改めてよくわかる。これらを、奨学金、仕送り、バイト等で賄うわけだ。ちなみに、ざくっとこれらすべての金額を、バイトで稼ぐと考えると仮に以下のような計算になる。
時給850円の場合(合計342万円の場合):
合計 約4023.5時間 月間約335.3時間 
1週間 約67時間 1日約9.5時間(1週7日休みなしで割って...)
時給1000円の場合(合計342万円の場合):
合計 約3420時間 月間約285時間
1週間 約57時間 1日約8.14時間(1週7日休みなしで割って...)
時給1500円の場合(合計342万円の場合):
合計 約2280時間 月間約190時間
1週間 約38時間 1日約5.42時間(1週7日休みなしで割って...)
どうだろうか。時給1500円でも、相当シビアな計算になることがわかるし、実際時給1500円換算の仕事など、首都圏でもごく一部を除くと、多くの院生に回ってくる仕事とはいえない。さらに、勉強しつつ、研究の成果報告(論文執筆、書籍執筆、学会報告等)もきちんと行うことが求められるから、これは相当うまくマネジメントしなければならない。

ちなみにぼくは学振をとれなかったので、その後働く路線を歩んでしまいましたが、思い出しても相当ハードだった汗 とはいえ、まだ研究とも無関連ではなかったし、学びも多く、かつ相当自由度の高い職場だったからよかったけれど、これ、普通に働いてしまうと、やはり研究活動が回らなくなってくることが容易に予想される。

間違いなく、現在、そしてこれからの院生にはコストマネジメントとタイムマネジメントが必須といえるが、やはり個人の取り組みでは限界があるようにも思われる。しかしこういうざくっとした積算資料もあまり見たことがないような気がするから、大学院のいろいろな支援施策(とくに経済的支援)を考えるうえでも参考になると思われる。

※さくさく計算したので、もし計算間違い等ありましたら、Twitter等で教えて下さいませm(_ _)m