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2016年12月31日土曜日

国立大学の授業料と減免制度(全額、半額免除)について

今年は給付型奨学金が話題になっている。しかしそもそも大学の学費の実態はあまり知られていない。「高い」「安い」といったイメージが先行しがちである。私立大学にとっては経営の柱でもあるのでその金額はかなりばらつきがあるが、ここでは国立大学と公立大学の学費(授業料)と、その減免制度について紹介したい。
本論とは異なるので、ここでは細かい話は割愛するが、日本の国立大学の学費は省令で定められていて、国際的にみて相対的にかなり安価なものになっている。ポイントは日本の場合は、大学の授業料がコストベースではなく省令によって一律に定められていることと、奨学金ではなく減免措置を中心としていることだ。大学の裁量は近年の改正で若干増えたが、国立大学は総じて省令に沿った授業料を設定している。
国立大学等の授業料その他の費用に関する省令
要は設計思想の違いである。英米圏の大学の学費はコストベースで設計され、基準がかなり高額になっている一方で、「優秀」だが家計が見合わない場合などに必要に応じて十分な奨学金を用意するものであり、日本の場合は標準の授業料をかなり低く設定し、さらに家計に応じて減免するというものである。どちらにも一長一短があるものが、強いていえば日本の制度設計はわかりにくいうえに、十分周知されていないことが課題とはいえる。
それでは、2016年現在、国立大学の授業料はどのようになっているのだろうか。国立大学、そして国立大学に准じて少なくない公立大学の学費(授業料)の主流は約54万円である。これは原則として学部を問わないものである。あくまで授業料だけなら、仮に時給1000円のアルバイトを一日3時間、月15日程度で、だいたいこの額を賄える計算になる(月4万5千円×12ヶ月=年54万円)。
河合塾が国公立大学の学費や受験料を一覧していた。かなりわかりやすいので紹介する。
2016年度 国公立大学 受験料・初年度学費一覧
さらに、先ほどの省令は、各国立大学に授業料等の減免措置を設けることを求めている。
(経済的負担の軽減のための措置)
第十一条  国立大学法人は、経済的理由によって納付が困難であると認められる者その他のやむを得ない事情があると認められる者に対し、授業料、入学料又は寄宿料の全部若しくは一部の免除又は徴収の猶予その他の経済的負担の軽減を図るために必要な措置を講ずるものとする。
これを受けて、各国立大学は授業料等の全額免除、半額免除の制度を用意している。「事前に対象になるかわからない」という声があるかもしれないが、基準も公開されいているので、本人、家族が対象になりうるか、事前に検討してみることもできる。世帯の人数、課程に応じて、金額が増加するようにかなり丁寧に設計されており、半額免除制度の対象になる人の範囲はかなり広いと考えられる。
授業料免除選考基準の運用について
具体的に、これらを具体化したものもある。参考までに東京工業大学の例を挙げておく。
他の国立大学にも概ね類似の制度が用意されている。
給付型奨学金の議論の最中、さまざまな「風評」が飛び交った。世論形成のため致しかたなかった側面は否定できないにせよ、事実ではない事項も少なくなかった。そのなかには受験生の不安を煽ったりするようなものも少なくなかった。
文科省は今年の3月、以下のような文章を公開しているので、改めて一読しておいても良いだろう。
戦前は、とくに旧帝国大学にはエリート養成の場としての性質もあったが、近年は必ずしもそれだけではない。とくに地域における高等教育の機会を提供する実質的かつ重要な場としての機能も国立大学は有している。確かにセンター試験と二次試験の双方があり、対策は大変だが、私立大学と比べてやはり相対的にかなり安価に学ぶことができるともいえる。
日本式の複雑な制度は理解が難しく、周知の仕方も十分とは思えないが、ぜひ積極的に活用してほしいと思う。
※追記(2016年12月31日)
ここで書いているのは、国立大学中心であることに留意したい。「私立も含めた高等教育」に対する日本の公的支出が乏しいことは論をまたない。また現状で満足すべきということも特段書いていない。その一方でかなり複雑ながら、それなりに使える制度があることも事実で、それを周知することに寄与したいというのがこのエントリの目的だ。