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西田亮介研究室について (about Dr. Ryosuke NISHIDA's Lab.@titech)
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2015年7月31日金曜日

「戦後レジームからの脱却」とはなにか

戦後70年を迎えて、「戦後レジームからの脱却」への注目が集まっている。「レジーム」は、分野によってやや異なった含意を持つが、法律や制度よりも広い意味で、政治体制、政体を指すときに使われている。たとえばYahoo!を「戦後レジーム」というキーワードで検索してみると、最近でも活発な議論が交わされていることがわかる。
だが、最近の日本政治固有の文脈では「戦後レジームからの脱却」はいうまでもなく、安倍首相の主要な価値観であり、キャッチフレーズでもある。そして、もとを辿れば、自民党の結党理念でもある。そして、その主要なターゲットは、今も昔も変わることなく、日米安保の安全保障体制の再検討と高機能化や憲法改正、歴史観でありつづけている。そして左派もそれに反応するかたちで、激烈な拒否反応を示し、最近ではデモや各種抗議活動も活発化しているように見える。
しかし、以前から不思議に思っていることがある。経済学者の野口悠紀雄(『戦後日本経済史』『1940年体制――さらば戦時経済』)や社会学者高原基彰(『現代日本の転機』)らをはじめ、多くの論者が提示してきたように、「戦後レジーム」の残滓は日本の社会経済政治等の各システムの随所に見られる。我々の働き方や労働、政治、メディア、社会福祉の慣習の少なくない部分が総力戦体制下や戦間期に形成されたことはよく知られている一方で、それらの改革は遅々として進まない。有権者の多くが、いろいろな主題をすぐに忘れてしまう、あるいは選択肢の不在のなかで選択それ自体を諦めてしまうという悪弊もある。
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外交や憲法改正は変数と制約が多く、実現のハードルは高い。それらにくらべると困難ではありながら、しかし相対的には変数の少ない日本国内の社会システムの改善も右派左派の、そして与党野党の声高で古典的な対立のなかで、棚上げされているこの構図こそが、日本の「戦後レジーム」なのではないか。理念的な、そして非現実的な主題も良いが、戦後70年を機会に、こうした「戦後レジーム」からの脱却が議論されればよいと思うのだが、どうか。