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2015年6月4日木曜日

洗練された、古くて新しい未来観――『マッドマックス 怒りのデス・ロード』



試写の案内をもらったので、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を観てきた。映画は大衆娯楽の作品がいい。ビジネスとして将来の存続は難しいのかもしれないが、巨大スクリーンで、強化された重低音と、最近では3Dグラス。家庭ではなかなか難しいエンタテイメント体験だからだ。

最近、ようやくリーマン・ショックの呪縛から離れたのか、それともTwitterで教えてもらったように、中国、インドマネーの流入やネット番組向けに新しい資本投下が行われているからか、大きな予算をかけたエンタテイメント作品が相次いでいる。ターミネーターしかり、スター・ウォーズしかり。本作もそのひとつだ。

フォード・ファルコンのV8の重低音、爆発、銃砲。テクノロジーが進化したこともあり、かつてのジョージ・ミラーとメル・ギブソンによる同名シリーズの比ではない。圧倒的な臨場感と迫力がある。

ストーリー自体も、オマージュ(というか、監督はジョージ・ミラー本人だ)は見られるが、世界観を踏襲しているといったほうが良いのではないか。すでにかつてのシリーズ後半のストーリーはうるおぼえになっていて思い出せないが、それらを観ていなくてもまったく問題なく楽しめる。

だが、観たことがあろうがなかろうが、どことなく随所に懐かしさを感じるのではないか。そもそも最近はエコカーやグリーンテクノロジーが全盛の時代。V8は時代の趨勢に反している。石油が枯渇した核戦争後の世界、BGMのメタルやカーチェイスというシーンもそうだ。最新のモチーフなら、テロとテロ戦争、EDM,AIやロボットとの競争あたりが該当するのではないか。

テクノロジーにブーストされ、臨場感や迫力は圧倒的に増したが、洗練された、古くて新しい未来観に覆い尽くされている。車の比喩で言えば、最新の日産スカイラインが、ダウンサイジングターボで、燃費と馬力を維持、向上させながらも、エンジン音をサウンドチューンしているのと似ている。

おそらくは意図的なものだろう。それらは快適で、実に良質のエンターテイメントの構成要素だ。かつて往年の名車トヨタ、セリカにノーマルで乗っていた知人がいた。故障や設備面で現代車に及ぶべくもない。とはいえ、圧倒的な雰囲気を誇っていたのも事実だ。しかし快適さと同時に「そこそこの雰囲気」を求める多くの現代の顧客は、ダウンサイジングターボとサウンドチューンが両方のニーズをそこそこ満足させるということになるだろう。

その意味で、ジョージ・ミラーとメル・ギブソンの出世作となった、かつてのシリーズとはまったく意味合いが違う。最近の作品でいえば、『チャッピー』などが該当するのではないか。荒削りだが、ユニークなビジョンを提示する(とはいえ、『攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL』的ではあった)。とはいえ、すでに大ベテランとなったジョージ・ミラーが放つ良質なエンタテイメントである。かつてのシリーズも、再度見たくなった。

公式サイトはこちら→
http://wwws.warnerbros.co.jp/madmaxfuryroad/