研究室情報【進学、研究生、共同研究等希望者等向け】

西田亮介研究室について (about Dr. Ryosuke NISHIDA's Lab.@titech)
東京工業大学環境・社会理工学院社会・人間科学系 社会・人間科学コース 西田亮介研究室の研究室情報です。 研究室(修士課程、博士課程)への進学、研究生の希望者は、よく読み、
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2013年3月22日金曜日

大学院生はどのようにモチベーションを獲得するのか?(あるいは、それらは支援できるのか?)

去る2013年3月16日、17日、立命館大学衣笠キャンパスと朱雀キャンパスで、4月からの修士入学生(M0生)向けのセミナーを行った。これまで運営委員だった、博士キャリアパス推進室が、修士博士という5年間のキャリアパスを担当する大学院キャリアパス推進室に改組となったことを受けて、そのまま修士課程のキャリアについても仕事の領域になり、その企画を考えることになった(正確には、企画・運営(とはいえ、大部分は大学院課のスタッフのみなさんのご尽力)・出演といったところ)。

「2013年度 大学院新入生向けセミナー 「大学院で獲得する“充実”」」
http://www.ritsumei.ac.jp/ru_gr/g-support/ability/article/?id=20

従来、M0生向けには主に就職関連のセミナーが行われていたようである(赴任前のことなので、資料でしか知らない)。しかし、今年度から、大学院での広い意味での「学び」について、具体的なイメージを多角的に持つことを目的としたセミナーに変えてみた。従来の就職関連の情報は最後に15分でまとめてもらうことにした。

これはなぜかというと、日本の、そして私学の大学院の現状では、多くの院生が学部と大学院での学びの違いについて、事前にきちんと理解しないままに入学してきていて、そのことで生活や研究のリズムを作れないでいるのではないかと考えたからだ。

そこで、友人の今村亮さんが事務局長を務める、教育、しかも動機付け支援を手がけるNPOカタリバのメソッドを参考に、大学院内で「タテ・ヨコ・ナナメの関係」を築きつつ、プログラムを考えてみた。

大学院でいうところのタテの関係は、教員、OB、現役院生だ。彼らと、学びやキャリアを議論することで具体的なイメージを持ってもらうことを考えた。ただ考えるだけではなく、ワークショップを行うことで、同じM0生たちと、ヨコの関係を形成してもらうのだ。

こうして、午前①に教員とのワークショップ、午後には大学院修了生の社会人OBとワークショップ。そして、午後になると、現役院生たちから、彼らのまさに現在進行形の話を聞きつつ、2年間の広義の学びのスケジュールを立てるのだ(NPOカタリバさんでいうところの、「約束カード」をイメージしました。随所にアイディアをお借りしています・・・)。彼らは必ずしも、参加しているM0生と研究科が同じとは限らないし、研究室も違うから、ある意味一期一会のナナメの関係だ。午前中の教員やOBといった少し年も、距離も離れた存在とのコミュニケーションを踏まえて、直接の先輩と「ほんとのところ」を聞きながら、かたちにしていく。留学の時期、調査の時期、就活の時期、修論執筆の大変さ等々をコミュニケーションしながら、具体的なスケジュールに落としこむのだ。

そしてそのあと、一日目は(株)ビジネスリサーチラボの取締役で、神戸大学大学院博士課程に席を置く伊達洋駆さん、二日目は投資ファンドで働きながら、児童養護施設への支援などを行うLIVING IN PEACEというNPOなど多彩な活動に取り組んでいる慎泰俊さん(早稲田大修士(ファイナンス))の2名のゲストの話を聞きながら、彼らは大学院を出て(あるいは在学しながら)起業するというある意味では「外れ値」的存在なわけだが、それを真似しろというのではなく、それを知った上で改めて各M0生たちが自身のキャリアの位置づけを考え、質問するのが目的だ。ぼくは完全にファシリテーションに回って対談というよりは話を引き出す側に終止していたのだけど、そのかいかどうかはわからないけれど、多くの質問が出された。伊達さんと、慎さんはともによく知っている方々だが、お忙しい中京都までご足労いただき厚く感謝しています(とくに慎さんは終わるや否やトンボ返りで福島でのお仕事に戻られた。感謝・・・)。

このセッションのあと、大学院キャリアパス支援プログラムと、キャリアセンターの取り組みを15分ずつ聞いた。朝10時に集合して、17時までというプログラムだ。そしていま、大学院生スタッフと、参加者それぞれが書いてくれた感想用紙を読んでいる。ぼくは修士の頃から、こういった参加型のワークショップをデザインしてきたが、それでもいろいろと発見があった。良い点も、もちろん悪い点も。

良い点としては、現役院生だ。今回スタッフとして、現役の院生たちに参加してもらったが、そのスタッフたちの存在感が大きかったことがよく分かる。また初めての試みゆえ、あまり細部まで詰めずに、「遊び」を残しておいた(その差異から見えてくることがあるからだ)が、その遊びを見事に機転と創造力を発揮して乗り切ってくれた。2回の事前研修で、このプログラムの目的(大学院での学びを具体的にイメージできるようになること、M0生のモチベーションを引き出すこと等々)、スピーキングの演習等々を行った。初日終了後には多くのフィードバックを出してくれたし、それらは2日目に反映されることになった。ほかにもさまざまな臨機応変な対応を見せてくれた。彼らにとっても、学びのきっかけになったのではないかと思う。スタッフも少なく彼らの協力なしにはうまく行かなかっただろう。

改善すべき点としては、ワークショップの人数や進行、研究科のギャップをどうするのかといったものがあった。ほかにも現役院生たちは多くのアイディアを提示してくれた。これらを来年度のみならず、平時の大学院キャリアパス推進室の事業に活かしていくかが問われている(と思っている)。この大学院キャリアパスの問題は、以前にも述べたように、息の長い問題でたぶん一朝一夕で答えの出ないものだろう。とはいえ、いろいろなアイディアも思いついたので、継続的に大学院課のスタッフの方々、学内のみなさんと連携しながら、形にしていくつもりでいる。

最後に土日にもかかわらず、ご協力いただいた、ゲスト、教員、OB、現役院生スタッフ、そして大学院課のみなさんに重ねて御礼申し上げます。