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西田亮介研究室について (about Dr. Ryosuke NISHIDA's Lab.@titech)
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2012年8月10日金曜日

サーフボードは、折れる。

多くの人にとっては想像もつかないことかもしれないけれど、サーフボードは折れる。先日天気がいい日にもう3年くらい乗った愛用の5'4"のクアッドフィッシュのワックスを剥がしたら、下から写真のような大きなクラックが見つかった。



どうやらストリンガーにもひびが入ってしまっているようだ。ワックスが載っていたため、ただのヘコミだと思っていたが、そろそろ寿命のようだ。サーフボードは最近ではEPSやモールド、カーボンなど先進的な素材で作られるものも出てきたけれど、基本的にはポリウレタンのフォームの真ん中に木材でできたストリンガーが通っていて、それをファイバーグラスで巻いている。より正確には、ちゃんとした板は職人さんが一本一本削って、樹脂で巻いている。最近でこそコンピュータシェイプが出てきたものの、少なくとも日本における主流は手工業的なものだ。

こうしたわりとデリケートな素材で出来ているわけだが、そのうえに人が乗って踏んだり、蹴ったりしているわけなので、だいたい数年でそれなりに「寿命」が訪れる。紫外線による日焼け、黄ばみ、ヘコミ、今回のようなクラック等々が原因だ。職人さんの手作りの板は同じサイズでつくっても、構成するカーブや微妙な重量バランスが異なるため、完全に同じボード、というのはほぼ存在しない。ときおり自分のレベルと、板がバッチリあった「マジックボード」があるが、その板にも必ず寿命が訪れる。板を見ていると、行った場所やとくに印象に残った波を思い出す。たとえばこの板は台湾や新島、千葉、茨城、湘南などによく持っていった。波の大小問わず乗れる面白い板だったし、僕の腕ではペラペラの薄くて細いスラスターではすぐ疲れてしまうけど、長く波乗りを楽しめる板だった。

もちろん寿命が来ることで、それなりにサーフィンをする人は板を買い換えることになる。その結果職人さんたちに定期的に仕事が発生し、ある種の生態系のバランスが構築されるわけでもある。とはいえ、壊れてお別れというのはどこか寂しくもある。まるで人の世の縮図のようだ。